飽きたとしてもその2、3年後にまた新しい発見があるように
──求められることと自分たちがやりたいことのせめぎ合いってあるんでしょうけど、愛はズボーンがお客さんに求められていることってなんだと思いますか?
GIMA:僕らができるのは、「見たことないものを見たい」とか、「思ったことのない感情になる」とか、ありものじゃない「そんな経験できんねや」っていうものを提供することだと思っています。
──愛はズボーンというバンド名は、元々はGIMAさんが考えた名前ですよね。だいぶ前に話を訊いたときに、金城さんが「"愛はズボーン"って本気で思ってるし、そういうつもりでライヴをやってる」と言っていて、そのときは正直あんまり意味がわかっていなかったんですよ。今回、バンド名とは別のテーマでアルバムを作ったわけですが、愛はズボーンっていまどんな意味を持ってますか。
金城:「本気で思ってる」っていうニュアンスがあまり伝えきれてなかったかもしれないですけど、そこはずっと変わらずに思ってます。愛はズボーンっていう字面とか響きとか、きっとふざけてつけたんだろうなって思われがちですけど、めちゃくちゃかっこいいバンド名だと思ってますし。でもなんか、かっこいいっていう言葉だけでは片付けられない、いろんな自分たちのマインドが込められたバンド名だと思うので。今回は新たにテーマを作って作品を作りましたけど、「俺たちは"愛はズボーン"だ」っていうのは変わりなく思ってますね。
GIMA:僕にとって、愛はズボーンっていう言葉自体が、「人生のテーマ」みたいな感じになってるんですよ。ずっと近くにあり続けるし、生きること死んでいくということ、孤独でいること、友だちとなにかを創ること、キスして愛が生まれるとかっていうことに、常に愛はズボーンがついて回ってるというか。「カルマ」みたいな感じですね。だからもう、かっこいいとかかっこよくないとかもあんまり考えてないです。本当に、人生のテーマ的なもんです。
──オープニングの"IN OUT YOU~Good Introduction~"は赤ちゃんの泣き声からはじまりますけど、人生のテーマ、生まれて生きていくことと今回のアルバムが繋がっているんですかね。
金城:繋がってるはずです。生まれた瞬間の最初のイントロダクションみたいなテーマで歌詞を書いたので。赤ちゃんの泣き声からはじめるのも、"I was born" (愛はズボーン)だからです。
GIMA:〈全人類79億9千5百万とんで1〉っていう歌詞は、1っていう奇跡がいっぱい折り重なって79億9500万人になってるわけなんで、いま新しく生まれてくる命たちに、「生まれてきた時点でもうお前の人生は成功だぜ」みたいなことを、〈「おめでとう」〉っていう言葉でメンバー4人でちゃんと言えてよかったです。
──10曲目 "笑う光"は金城さんの作詞作曲とクレジットされてますが、バンドだけどこの曲も入ってるのがいいですね。
金城:幸せに感じますね。アルバムの1曲とはいえ僕が打ち込みでひとりで作ってひとりで出して、これも愛はズボーンっていう。
GIMA:これは金城君が作って持ってきて、メロディーとか一緒に考えたりはしましたけど、ほぼほぼ金城君がひとりで考えた"ピュア城くん"な曲です。
──フェスの最後にやってるような感じのカタルシスがありますよね。"ヘルステロイド" "まじかるむじか" "笑う光"、最後に"NEW SNEAKER MEMORIES~album ver.~"という終盤はライヴの流れを意識しています?
金城:うん、そうですね。最後の "NEW SNEAKER MEMORIES~album ver.~" も、ライヴで演奏するときの荒っぽさを出そうと思って録りなおしました。
──改めて『MIRACLE MILK』についてひと言お願いします。
GIMA:過去のロック史、未来のロック史にも、愛はズボーンみたいな誰かに似ていないバンドって多分出てこないと思うので、そのどこにも属してないバンドとこのジャンルにも属してない音楽を「これが正義だ」って出したアルバムが『MIRACLE MILK』。渾身の1滴だと思うので、それを堪能して「自分も自由な生き方をしよう」と思ってもらえたらと思います。心で聴いてください。
金城:このアルバムを聴いて「めっちゃ最高やん!」ってすぐ理解してもらえたなら、飽きるまで聴いてほしいし、飽きたとしてもその2、3年後にもう1回聴いたときにまた新しい発見があるようにいろいろ忍ばせてます。「よくわからへんかったわ」という人も、2、3年後とかに「愛はズボーンのアルバム『MIRACLE MILK』って、あれなんやったんやろ?」ってフラッシュバックするような癖もいっぱいあると思うので、諦めないでまた思い出したときに聴いて欲しいです。あなたの人生に絶対引っかかる部分があると思って届ける自信作なので、是非聴いてください。よろしくお願いします。
──最後に、これから愛はズボーンはどんな夢や目標を持って活動していきたいか聞かせてください。
GIMA:昨年6月に主催したイベント〈アメ村天国2023〉のアンコールで、光る龍が登場して仲間の出演者たちが僕らのステージにいて、お客さんも演者も垣根なく、光る龍がブワーって回ってる真ん中で僕が胴上げされていたんですけど「ああ、これやな。これをずっとしていたい」って思ったんです。こう聞くとわけわかんないじゃないですか? でもその瞬間その場にいる人たちは全員わけわかってて手を上げて叫んでるみたいな。愛はズボーンはそれが永遠に続けばいいなって思いました。もっともっと規模感がデカくてわけわからんことできたらめっちゃおもしろいだろうなと思うし、それこそ野外とかで見たこともない生物たちが出てきて、風船が舞って、みんな踊りまくって、ステージを降りてフロアでみんなと声を出して歌って、その後みんなで乾杯できるとこまでいけたら最高です。
金城:GIMAちゃんは〈アメ村天国2023〉の前に僕らを呼んで、「龍がライヴ中に入ってきてピカピカ光りながらお客さんと一緒に踊ってるていうビジョンをやりたいんですよ」って言ってきて。それに対して僕はバンドのリーダーとして、「いいな、やろうや」って言いたいなって思ってるし、夢はGIMAちゃんがめっちゃ輝く場所を作ってあげることですね。それが連続していったら、その道なり全部が達成できたことだなって思います。それと、僕はどちらか言ったら「作品を残す」っていうことにすごく力を入れていて、もう次のアルバムを作りたいって思ってるので、それをずっとやり続けたいなって思います。具体的に大きな会場でこうしたいとかっていうことも、もちろんスタッフチームですごく真面目に話し合っています。いままでも何回か「大きな会場を目指して頑張りたい」って言ってきたかもしれないですけど、それはもしかしたらあんまり心のこもった言葉ではなかったかもなって。いま心から言える言葉は「いまがいちばんおもしろい」ですね。
編集:梶野有希
テーマは、「ミラクル」「マジカル」「ケミカル」!
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ライヴ情報
〈MAGICAL CHEMICAL MIRACLE TOUR〉
3月17日(日)京都nano
4月6日(土)広島 4.14
4月7日(日)岡山PEPPERLAND
4月14日(日)札幌 KLUB COUNTER ACTION
4月19日(金)水戸 LIGHT HOUSE
4月20日(土)仙台 FLYING SON
4月21日(日)千葉LOOK
4月26日(金)神戸 太陽と虎
4月28日 (日) 岐阜ants
4月29日 (月祝) 静岡UMBER
5月5日 (日) 高松TOONICE
5月6日 (月祝) 松山 Double-u studio
5月11日(土)福岡 Queblick
5月12日(日)大分 club SPOT
5月25日(土)名古屋 HUCK FINN
6月2日(日)下北沢 SHELTER
6月9日(日)心斎橋 Pangea
ツアーへ向けてメンバーよりコメント
■金城昌秀(Vo / Gt)
久しぶりの全国ツアーです。色々な場所に行けるっていうバンドをやっているからこその楽しみを我々は満喫しますので、その楽しそうな姿をみてエネルギーに変えてもらえたらと思っています。気合は十分入っているし、2、3年前にライヴはすでに完成しているはずで、そこにさらに新しいアルバムが完成したっていう、完成形がダブルの状態でツアーを回ります。皆さんの満足のいくすごいライヴができますので、是非ともお越しください!
■GIMA☆KENTA(Vo / Gt)
全国ツアー17箇所。久しぶりというよりも「はじめまして」という新しい気持ちで新しいアルバムを引っ提げて回ります。結局行動してみないとわからんかったことは多いと思うので、この記事をみて「愛はズボーン」って名前をいま知ってくれた人もぜひ来てください。僕もいきますし。おしゃべりしましょう。ライヴ中に色々投げかけるメッセージにアクションで返してくれたら会話できるので。あなたと会える日を楽しみにしています。全国ツアーで待ってるぜ! よろしく!
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PROFILE:愛はズボーン
2011年結成の大阪アメリカ村を拠点に活動する愛はズボーン。メンバー・チェンジも無く全国ツアーや主催のサーキット・フェス〈アメ村天国〉を開催し続け、精力的な13年の活動を続ける4人組ロック・バンド。
■公式X(Twitter):https://twitter.com/iwasborn_band
■公式HP:https://iwzbn.com/