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2022/12/23 00:30

 

【ライヴレポート】私たちBiSHは、夢だった東京ドームで解散します──〈BiSH FES〉&〈世界で一番綺麗なBiSH〉at 国立代々木競技場 第一体育館

 

国立代々木競技場 第一体育館にて開催されたBiSHの2つのライヴ〈BiSH FES〉と〈世界で一番綺麗なBiSH〉。その時、何が起こっていたのか、その時、何が語られたのか。そのメモリアルな公演の模様を、どこよりも熱い2本立ての独自のレポートでお届けします。素敵なライヴフォトとともに、この熱気をぜひ感じてください!

〈BiSH FES〉ライヴレポート
2022年12月20日(火) 国立代々木競技場 第一体育館
〈BiSH FES〉

フェスと言ったって出演者は全てBiSHと言う謎のフェスが行われると聞いて向かった国立代々木競技場 第一体育館。流石にBiSHのワンマンだとしたら、「フェスとはなんだ!? こちらも納得いかないぞ」と鼻息は荒い。

そして始まった1組目のグループBiSHは、なんと“BiSH -星が瞬く夜に-“の6連発だ!!!!!! TOKYO IDOL FESTIVAL、ニコニコ超会議などで披露した、この曲しかやらない伝説のセットリストを初っ端に! いきなりの仕掛けに、もう会場はざわつきまくりだ。

アイナ・ジ・エンドの「飽きちゃだめだよー」とか、モモコグミカンパニーの「ハシヤスメさん、メガネはずれてもがんばってんだよー」とか、メンバーもその連続を楽しんでいるし... と思いきや、踊りなど関係なくなった4回目、ヘッドバンギングのみをやり続けた5回目、そして6回目は過去のこの曲のライブ映像が流れ、その映像と現実のメンバーがシンクロしているという... もうやりたい放題だし、ただ6回同じ曲をやっただけなのに、ちょっと感動させられている自分がいるのが怖い。

そして15分のインターバルの後、2組目のグループBiSHは、これまた伝説のライブ、幕張メッセでの“THE NUDE”の衣装を着ての登場だ。そしてついにやっちまった、THIS is ハシヤスメソング“ア・ラ・モード“。期待したマッチョではなく、大人数のサンバカーニバルダンスグループが登場し、もう会場の盛り上がりが大変なことになってしまった。

そして11月のシングル曲“脱・既成概念“、リンリンの表現が爆発した“Am I FRENZY??“、MV付きで魅せた“MORE THAN LiKE”、そしてこれは嬉しかったアイナ作詞の初披露“ハッピーエンドじゃなくても“、そしてアユニ・Dといえばこの曲“スーパーヒーローミュージック“、しかもラストはMVに出てきたモンスターたちも登場して大団円で終了した。

そして3組目のグループBiSHは、モモコ作詞の“Marionette”でスタート。大きな画面には、アニメに家具の映像が重なり、その前でメンバーが踊るという、山田健人節炸裂の映像が流れる。“スパーク“では部屋の映像に切り替わり、部屋の中のテレビには、BiSHが流れている。そして“スパーク“からの流れが最高に嬉しい“優しいPain”では、巨大な骸骨の手のダンスが映し出され、“Life is beautiful”では映像とメンバーがシンクロする。そしてラストの“FREEZE DRY THE PASTS”が本当にやばかった! BiSHの中で最も尖った曲の後半戦、一気に映像も加速し、死神、悪魔、モンスター、その類のものがこれでもかと投影され、アイドルやロックの枠を超えて、全力で清掃員を地獄まで連れていこうとする山田健人の狂気が素晴らしかった。

1組、2組、3組と同じBiSHでもこうも違うものかと感嘆していた時に、そういえばと事前にもらったセットリストを見る。するとそれぞれのグループの前に、プロデューサーの名前が書いてある。1組目のBiSHの前には、JxSxK(渡辺淳之介)、2組目にはBiSH、3組目にはdutch(山田健人)、4組目は佐藤裕介(KMミュージック)と。

「そういうことか!!!」
同じBiSHでも、それぞれのグループにBiSHチームの一人がプロデューサーとして立ち、彼らが楽曲を選び、曲順を考え、構成を考える、まさにプロデュースを行っているということか!

「なんだそれー!」
とはいえ、見事にそれはハマっている。同楽曲の連続は、WACKの原点だし、渡辺しか思いつかない芸当だ。BiSHは、もう必死に清掃員のことを考え、清掃員が喜ぶセットリストになっていたし、山田健人は徹底的にBiSHのアートの側面を引き出していた。
そのことを知った後に佐藤裕介がプロデュースした4組目のBiSHを見て感極まった。

M 1 ZENSHiN ZENREi
M 2 デパーチャーズ
M 3 MONSTERS
M 4 サヨナラサラバ
M 5 プロミスザスター
M 6 beautifulさ
M 7 サラバかな

これぞというBiSHの黄金のセットリスト。全国のツアーをほぼ一緒に回る佐藤だからこそ提案できるものだ。セットリストの隣には、「細かくBPMを早める」や「小節を増やす」などの指示も書いてある。日々BiSHのライブをよくしようと考え続けたものだからこそのプロデュースだ。BiSH FESのオオトリを、BiSHの現場を一番作ってきた佐藤に託したことにもめちゃくちゃ合点がいく。もちろん会場も待ってましたと大盛り上がりだ。

四者四様すばらしいプロデュースだった。そしてBiSHチームには、他にも衣装や写真の外林健太、作曲の松隈ケンタ、BiSHバンド、PAや照明など、素晴らしい人材に溢れている。いつものBiSHのライブは、そのBiSHチーム各々の技術や想いがそこらじゅうに散りばめられているからこそ、全く持って飽きることがないのだろう。

BiSH FES... それは、BiSHのライブの素晴らしさが、BiSHメンバーも含んだBiSHチームによって作られているということを明確に示した、強烈なメッセージの込められたフェスだった言える。素晴らしかったけど... フェスの概念、ぶっ壊しすぎです!!!

〈世界で一番綺麗なBiSH〉ライヴレポート
2022年12月22日(木) 国立代々木競技場 第一体育館
〈世界で一番綺麗なBiSH〉

スッキリでの解散発表から一年。「世界で一番綺麗なBiSH」と題されたタイトル。20日(火)に行われた4組のBiSHチームのプロデュースが発揮されたライブ。そして急遽発表された本日のライブを配信公開するということ! あまりにも状況が整ってしまっている。

遂にあの日程が発表されるような気がしていたし、コアな清掃員もそう思っていたに違いない。満員のお客さんは、どんな気持ちで発表を受け止めるのか。そんな思惑が、外れてくれることを願ってはいるが...

〜世界で一番綺麗なBiSH〜

OVER TURE(序曲)と題されたオーケストラの演奏が始まり幕があがる。なんとバンドも入れると40人以上はいるフルオーケストラ編成だ。そして2日前に6連続を披露した“BiSH -星が瞬く夜に-“で開幕する。山田健人の映像も初っ端からガンガンだ。リンリンの髪型は、2日前の爆発から打って変わって、なんとモーツァルト風に。しかしこのグループは、オーケストラ編成がよく似合う。さらに2曲目の“PAINT it BLACK”もオーケストラ編成で突入した。これは全曲オーケストラでいくようだ。

“GiANT KiLLERS”、“NON TiE-UP”と激しくパンク/オルタナティブ・サウンドが全開の楽曲にも関わらず、完全にオーケストラ・アレンジで、聴いたことのない迫力だ。メンバーも負けじと声を張る。“NON TiE-UP”の後は、ゴジラ S.P <シンギュラポイント> のタイアップ曲“in case...”。こういう遊び心のあるセットリストがたまらない。

椅子に座っての“FOR HiM”“My landscape”でじっくり楽曲を聴かせ、“プロミスザスター“では、山田健人が星を降らせ、清掃員のペンライトは場内いっぱいに輝き、何色ものオーケストラの音が響き渡り幻想的な空間を作り上げ、前半戦が終了した。

そしてお楽しみのコント!!! 今回も、ハシヤスメ・アツコとモモコグミカンパニーが練り上げたであろうオーケストラのサイレントドリフ御用達コント! 自分たちで笑い声も入れちゃってるんだから、悪ふざけがすぎるw。最近あんまり滑らないんですけど... これはこれで、やはり成長な気がします!

後半戦は、いきなりこれまたオーケストラ・アレンジが強烈な“遂に死“。そして12ヶ月連続シングルの代表作“サヨナラサラバ“。アイナ・ジ・エンドの雄叫びから始まる“MONSTERS”、“ALL YOU NEED is LOVE”、そして“サラバかな“で本編は終了する。個人的には、オーケストラ・バージョンの“サラバかな“が、普段よりも広がり、深みが増し、曲の良さが最も引き出されていたように思う。こんな“サラバかな“が聴けるなんて思いもしなかった!

こんなもんでは聞き足りないとばかりに大アンコールが起こる。万雷の拍手で登場したBiSH。
セントチヒロ・チッチがゆっくり喋り始めた...

ついに発表されてしまった。一番聞きたくなかった、解散の日。

BiSH、6月29日(木) at 東京ドーム

東京ドームといった瞬間、会場は最大に盛り上がり歓声に包まれた。でもメンバーはみんな涙ぐんでいた。そういうことだとわかって涙が溢れた。その後チッチから、その日が解散の日と伝えられ、会場はため息に包まれた...

ずっと公言してきた。渡辺淳之介も言っていた。BiSHは、最高の場所で解散するんだと。遂に彼女たちは言ってたことを叶えようとしている。それはわかっているんだけど、涙が止まらないのは何故だろう...

チッチが静かに“オーケストラ“を歌い始めた。日比谷野外音楽堂の伝説のライブと同じオーケストラ編成で、そして彼女たちをここまで連れてきた“オーケストラ“が始まった。なんとか強く歌っていたメンバーだが、落ちサビで、12月27日が誕生日のアイナに向けて清掃員のペンライトが一斉に真っ赤に染まり、いままでずっとBiSHを引っ張り続けたアイナが泣いた。つられるようにチッチも。

その光景があまりにも、あまりにも綺麗だった。

ラストは、メンバーもバンドもオーケストラも清掃員もみんなで“beautifulさ“のトゲトゲダンスで終了する。泣いている人... 笑っている人... さまざまな想いが交差していた。

オーケストラ編成のライブは、アレンジも音のバランスも見せ方もスペースも、全てがいつもと違う中での、BiSHとBiSHチームの新しい挑戦だったと思う。20日のBiSH FESもそうだし、こんな日でも常に新しい挑戦を行おうとするBiSHは、本当に刺激的だ。あと半年だ。あと半年で、BiSHは本当に終わる。それでも彼女たちは新しい挑戦をしてくれるだろうし、まだまだ我々を興奮させてくれるだろう。だから、とにかく彼女たちを追いかけよう、見届けようと強く思うのだ。

最後に、チッチの解散の日程を発表したMCを全文記載します。

「最近私たちはずっとライブハウスを周るツアーをやってたんですよ。7ヶ月か。明後日で終わっちゃうんだけどね。昔から行かせてもらってたライブハウスに久しぶりに行ったりして。この8年間をすごく思い出すような日々でした。その日々を思い出していると、すっごい悲しくて大泣きした日があれば、笑い転げた日もあったなあなんて。いろんなことを思い出してね。でもなんか、私たちってどんな時でも歌ってても、みんなの前に立ってこうやってしゃべってても、やっぱり気持ちはひとつだなって思っていて。

いつもね空に瞬く星をみんなで探して探して、どこにあるかなって、いつも見上げてました。私たちにはこうして目の前にいるあなた方清掃員がいるから、その見上げる日々も悲しい日々も苦しい日々も頑張ってこれたなと思います。いつもでっかい愛でBiSHを応援してくれて、愛してくれてありがとうございます。

私たちBiSHには結成した当初から、大きな大きな夢がありました。

私たちBiSHは、夢だった東京ドームで
6月29日に解散します。

私たちも解散発表してからね。解散する日がずっと決まってなくて。本当に最近知りました。ゴールは決まったけれどBiSHはいつだってがむしゃらに突き進んできた。それは変わらず、BISHらしくありのままに愛と感謝を込めて目一杯みんなが動き続ければ、2023年も変わらないです。思いをいっぱい届けていきます。来年もこのBiSH6人の炎が燃えたぎって、でっかい光になるように超頑張るからさ。 これからも何卒よろしくね。 清掃員、愛してます!」

文 : 飯田仁一郎
構成: 西田健
Photo by sotobayashi kenta

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