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2022/03/20 18:00

 

電音部、波乱の新展開へ!!──〈電音部 2nd LIVE -BREAK DOWN-〉神無月の部 ライヴレポート

 

バンダイナムコエンターテインメントが仕掛ける本格的なダンスミュージックを中心とした、音楽原作のキャラクタープロジェクト〈電音部〉。このプロジェクトのテーマである「新たなカルチャーとの遭遇体験」をイベントで提供する試みのひとつとして開催されたライヴイベント〈電音部 2nd LIVE -BREAK DOWN-〉が、2022年3月19日、パシフィコ横浜 国立大ホールにて開催された。このレポートは、その夜公演である神無月の部の様子を記したものである。

開演前、電音部楽曲のDJ MIXがBGMとして流れる会場内には、ワクワクした表情のファンが集まっていた。前回の〈電音部 1st LIVE -Make Waves-〉は、これまでの電音部が提示してきた世界をLIVEの世界に具現化したものであり、かなり満足度の高いものであった。そのため、今回の〈電音部 2nd LIVE -BREAK DOWN-〉には、多くの期待が高まっていたことだろう。また、今回ライヴの会場はパシフィコ横浜。前回の会場である立川ステージガーデンと比べると、より大きな会場での開催となる。これは電音部というプロジェクト自体が大きくなっている証拠でもある。

定刻を迎え、開幕のサイレンが鳴り響くと、オープニング映像とともに、会場全体からクラップの音が聞こえはじめる。この一体感が電音部のライヴであり、それが公演スタートの時点で自然発生して盛り上がっているのが、この公演に対する電音部ファンのモチベーションの高さを示している。神無月の部のトップバッターとして登場したのは、シブヤエリア「帝音国際学院」より瀬戸海月役のシスター・クレア。“ペトリコールを渡って”を歌いながら、無数の青いレーザーの光に包まれる彼女はまるで人魚のようだった。続いて、カラフルな照明に彩られて大賀ルキア役の星川サラが現れる。“NANAIRO STAGE”というタイトルの通り、ステージを七色に染め上げる。煌びやかな中に、しっかりとしたベース・ミュージックのバイブスを感じさせる。そして、シブヤエリア3番手として、鳳凰火凛役の健屋花那が登場。ソロ曲“CHAMPION GIRL”で、王者の風格を見せつける。電音部のなかでもかなりビートの強いタイプの楽曲だが、そこにヴォーカルが埋もれないのは彼女の歌唱力の高さが成せる技である。さらに、DANCE SHOW CASEを挟んで、エリア楽曲“In my world”を披露。KOTONOHOUSEが生み出した強力なビートでフロアをロックしていく。圧倒的な力を見せつけた3人は、楽曲が終わると共に暗闇へと消えていった。

シブヤエリアの熱が冷めやぬままに、すぐさまアザブエリア「港白金女学院」の映像が流れる。楽曲と楽曲の空白を極限まで削ぎ落とし、DJのようにつなぐのは電音部のライヴの醍醐味である。アザブの1番手は、白金煌役の小宮有紗。キュートなソロ曲“MUSIC IS MAGIC”を歌い上げると、一瞬で会場全体をラグジュアリーな空気へと展開させていく。続いて登場した黒鉄たま役の秋奈は、ソロ楽曲“いただきバベル”の、ケンモチヒデフミ節全開のラップでフロアを沸かす。レギュレーション上、「声上げろー!」と煽られながらも声が出せないのは歯痒いところではあるが、オーディエンスは心の中で大声を上げていたことだろう。アザブエリアは、さらに小宮有紗が“No More”を、さらに秋奈が“Catch a Fire”を披露。今宵はふたりでアザブの夜の世界を演出していった。

3番目に現れたのは、アキバエリア「外神田文芸高校」。まずは、茅野ふたば役の堀越せなが現れ“アイドル Break All”を歌唱。IOSYSによる高速チップチューンに、堀越の力強い咆哮が重なる。さらには、ガチ恋口上のようなセリフまで入った、とにかく超展開な楽曲でオーディエンスを満腹に。続いて、東雲和音役の天音みほが現れ、“トアルトワ”を歌う。複雑な譜割ではあるが、そのなかで切ない心情をエモーショナルに伝える。続いて、アキバエリア3人目の日高零奈役の蔀祐佳が登場し、“しあわせの魔法”をしっとりと歌い上げる。彼女のイメージカラーのオレンジは、エネルギーや楽しさを象徴する色ではあるが、一方でそれは夕暮れの色でもあるのだと気づかされた。アキバエリアはその後、全員で“pop enemy”を披露。チームワーク抜群のステージングで、客席を魅了していた。

エリアのブロックではラストに登場したのは、ハラジュクエリア「神宮前参道學園」。犬吠埼紫杏役の長谷川玲奈が“Eat Sleep Dance”でハラジュクの持つkawaiiの世界を存分に見せつけると、2番手の水上雛役の大森日雅が“ミルキータイムライン”のウィスパーヴォイスで魅了する。そのあと、世界観を繋ぐように、桜乃美々兎役の小坂井祐莉絵が“Princess Memeism”をスウィートに歌い、甘い甘いハラジュクワールドへと引き込んでいく。そして、ハラジュクエリアの全体楽曲として披露されたのは、“Distortion”。子守唄のようなヴォーカルやメロディーとは裏腹に凶悪なベースとビートが乗る、電音部の屈指のエッヂの効いた楽曲である。かわいさと狂気で会場全体を包み込み、彼女たち3人はステージを後にした。

ライヴは、全エリアが総出演するオールエリアのブロックへ。健屋花那が“Beat Me!”を披露すると、天音みほによる“Mani Mani”、秋奈が歌う“MIDNIGHT TOWN”、蔀祐佳の楽曲“夜明けのアンセム”、シスター・クレアの“月読のダンス”と次々と楽曲が繋がれていく。ソロ曲ゾーンが終わると、オールエリアのダンス部員たちが登場するDANCE SHOWCASEへ。ここで使用されているのは、各エリアの楽曲をサンプリングしたスペシャルエディット・チューンだ。それぞれの世界がダンスという共通言語で混ざり合う。この電音部のライヴにおいて、ダンス部の存在は欠かせないものであり、踊りの力によって楽曲の魅力が倍増していると言っても過言ではない。それぞれのエリアをまたいで登場するのが、オールエリアブロックのおもしろさなのだが、これは様々なジャンルの楽曲を繋ぐクラブイベントのエッセンスを電音部というコンテンツにおいて体現しようとしているのだと思う。最後のエリア曲のゾーンでは、ハラジュクエリアの“Hyper Bass”、シブヤエリアの“Let Me Know”、アザブエリアの“Where Is The Love”、アキバエリアの“Blank Paper”、とそれぞれの持ち味を生かした楽曲をそれぞれ披露する。ついこの前まで、40週毎週楽曲リリースという前代未聞の企画を行っていた電音部だが、楽曲の多彩さこそがこのコンテンツを支えているのだと実感する。

全てのエリアが歌唱を終了すると、エンディングへ。それぞれメンバーひとりひとりが今日の感想を述べていく。前回同様、エンディングまでMCなしのため、彼女たちはここではじめて自分の言葉で想いを伝えることになるのだが、それぞれの気持ちが伝わる素敵なスピーチだった。暖かな拍手がダンサーを含め出演者全員に送られ、大団円のフィナーレを迎える。しかし、、、問題ここからである。最後に、全員で「ありがとうございました!!」と伝えようとした、そのときだった。突然ステージが暗くなり、これまででいちばん不穏なビートと共にダークな衣装に身を包んだダンサーたちが現れたのだ。凶悪なまでに飛び交うレーザー光線の中で、踊り狂うダンサーたち。そのとき、この公演のサブタイトルが“壊す”や“壊れる”を意味する「BREAK DOWN」だったことを思い出した。こんなタイトルがついておいて、ただで終わるはずがなかったのだ。

ダンサーがいなくなると、ステージには桜乃美々兎役の小坂井祐莉絵がひとり。“Do You Even DJ? 2nd”と題された楽曲を歌うのだが、歌詞の内容はかなり闇堕ちしている印象。途中のセリフは、小坂井の演技がすさまじく、感情をぐわんぐわんに揺さぶられてしまった。これはいったいどういうことなのか。観客の心を完全に奪ったまま、エンドロールが流れるスクリーン。その最後には、「4月4日 電音部第2章開幕!」の文字。そして、新たに公開された情報によれば、新エリアとして、カブキエリアが登場するらしい。しかも、そのキャストはオーディションで決定するという。これから電音部はどうなっていくのか。そして、桜乃美々兎はどうなっていくのか。その答えは、これからの電音部を隅から隅までチェックしていくしかなさそうだ。

文 : 西田健

2022 年 3 月 19 日(土)
〈電音部 2nd LIVE -BREAK DOWN- 神無月の部 〉@パシフィコ横浜 国立大ホール

セットリスト
1.ペトリコールを渡って (Prod. Aiobahn)
2.NANAIRO STAGE (Prod. YUC'e)
3.CHAMPION GIRL
4.DANCE SHOWCASE
5.In my world (Prod. KOTONOHOUSE)
6.MUSIC IS MAGIC
7.いただきバベル (Prod. ケンモチヒデフミ)
8.DANCE SHOWCASE
9.No More (feat.Rheason Love & Tomoyuki Hirakawa)
10.Catch a Fire (Prod. ケンモチヒデフミ)
11.アイドル Break All (feat. IOSYS)
12.トアルトワ (feat. TAKU INOUE)
13.しあわせの魔法 (feat. Jun Kuroda)
14.DANCE SHOWCASE
15.pop enemy (feat. Shinpei Nasuno)
16.Eat Sleep Dance (feat. Moe Shop)
17.ミルキータイムライン (Prod. Nor)
18.Princess Memeism (Prod. Snail's House)
19.DANCE SHOWCASE
20.Distortion (feat. Yunomi)
21.Beat Me! (feat. kamome sano)
22.Mani Mani (Prod. TAKU INOUE)
23.MIDNIGHT TOWN (Prod. AmamiyaMaako)
24.夜明けのアンセム (Prod. 雄之助)
25.月読のダンス (Prod. takashima)
26.DANCE SHOWCASE
27.Hyper Bass (feat. Yunomi)
28.Let Me Know (feat. Masayoshi Iimori)
29.Where Is The Love (feat. Shogo&早川博隆) 白金 煌&黒鉄たま ver
30.Blank Paper (Prod. TEMPLIME)
31.DANCE SHOWCASE
32.Do You Even DJ? 2nd (feat. Neko Hacker)

▼『電音部』 INFORMATION

◎YouTubeにて楽曲公開中!

ASOBINOTES公式チャンネルのプレイリスト『電音部-Release-』にて、これまでリリースした楽曲はもちろん、MVや試聴動画を公開しています。
https://www.youtube.com/watch?v=ZPqgx6AMLZ8&list=PLcPYdiWROoB6Kow6CczrrnhYFoI9kNb_A

◎公式サイト
https://denonbu.jp

◎公式Twitter:
電音部プロジェクト公式:https://twitter.com/denonbu
電音部の世界:https://twitter.com/denonbu_world

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