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2022/02/22 01:00

 

【行かなきゃ ASP-ライヴレポート-】子ども部屋からZeppに立った! WACK史上最も意味のわからないMCまで飛び出したASP初のZeppワンマン!!!

 

ASPの大切な初期メンバーのナアユが脱退し、おもしろツインズが加入し、パワフルなセカンド・アルバム 『PLACEBO』のリリース後、無謀とも言えるZepp Divercityのワンマン・ライヴに挑戦したASP。
まずは渡辺淳之介が登場したが、今日の彼は口数が多かった。残念ながら売り切れなかったどころか、1200人のキャパに600人もこなかったようだ。「でもだからこそやる気が出た。必ずもう一度来るから! 埋まったらユメカが泣きますから! だから今日のこのライヴを盛り上げて、そして焼き付けてください」と言い放った。BGMは、Matching Moleの「O Caroline」! うわぁー、すでにエモいぞ。そして、ASPがどでかいかけ声と共に登場した。

1曲目は、モグ・ライアンの巻き舌からスタートするTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTよろしくな『PLACEBO』の1曲目“HATRED of LOVE”。 「愛という憎悪」と叫びまくる。ナ前ナ以の気合がバリバリに伝わってくる。そして騎馬戦の構えが象徴的な“レリゴ“。ロックンロールよろしくな“DiVE”と続き、モグ・ライアンが 「ファッキュー」って歌いまくりたかったでおなじみの“いつでもファッ️キュー❤️”、そして『PLACEBO』のとても大事な曲だとメンバーが口を揃えて伝えてくれた“ITSUMO KOKOKARA”、ファーストアルバム『ANAL SEX PENiS』より“WAiT and WAST”、初めてツインズ入りのPVで公開されたデジタルハードコア全開の“NO REASON”と続いた。

正直に言うと、ここまではあまり良くなかった。Zeppに対し気負いすぎたのか、それとも集客のことを気にしすぎたのか... どこかバラバラで、個々の気合いがグループのグルーヴとして伝わってこない。なので、ちょっとしたダンスのずれや、ピッチのずれも気になってしまう。これでは、似た曲調の多いASPのライヴでは、途中で飽きてしまうんじゃないか... そんな不安さえよぎった。

でもこの後のナ前ナ以の言葉を詰まらせながら語ったMCが窮地を救う。
「私、今日マジでマジでマジで死んでいいって思っています。私ASPしかなくて、だから生きる理由も死ぬ理由も、なんでも理由はASPがいいです。ASPでの1年間がいままででいちばん楽しくて、いちばん苦しくて、いちばん幸せでした。私、ASPになれて本当に幸せです。今日、ここにいる全員を引き連れて死のうと思うので、最後までよろしくお願いします」

このMCに触発されたのか、その後に演奏されたナ前ナ以が作詞した“GAZE”から明らかに全員が変わった。ナアユが脱退前に作詞した「自分の歩幅で進め」と歌う“You don’t say”、「ぼーっとしていたらもったいないよ」ってユメカ・ナウカナ? は気づいたという“日々是虚無也“、ファースト・アルバムの象徴的なバラード“The Emperror’s New Clothes”、会場一体となってエックスジャンプをする“BE MY FRiEND”とMCなしで続き、“WARRiES”、「ヤッチマイナー」と叫ぶ“Just do it”、「真っ直ぐにいけ」と叫ぶ“GO STRAiGHT”と一気に歌い上げた。曲が進むごとに会場はヒートアップしていくし、メンバーの気合も、感情の動きも表に現れてくる。

マチルダー・ツインズのよくわからない「マンのあるひとー、チンのあるひとー、わたしはマンがあるぞー、それでは“the MAN CALLiNG”」というWACK史上最も意味のわからないMCをぶち上げて、後半戦に突入する。“被害者ぶるな“”TRUST MY SELF”とファースト・アルバムの曲が続く。そして煽りまくりの悲しみジュニー氏作詞の“マジ無いです。“は圧巻。さらには、ベースのチョッパーと歪みまくったギターがひたすら気持ちいい“NOW or NEVER”で、この日1番の盛り上がりを見せた。そしてそのままの勢いで、パーティー感爆発のダンスソング“Let’s go as a weirdo”と雪崩れ込んだのだ。

ASPのライヴは、ショウではなくライヴだ。比較的短く、直線的なビートの曲が連続し、その度にグルーヴは増幅される。そのまさにパンク・バンドのようなライヴを展開しながらも、そこにメンバーそれぞれの声の特徴が乗ることで、めちゃくちゃエモいASPサウンドが創られている。それぞれの声の資質を形容すると、モグ・ライアンの声は切なく、ユメカ・ナウカナ?の持つ声は力強く、ナ前ナ以の声は儚く、そしてツインズがダブルで歌う声は、びっくりするほどかっこいい。ぜひ彼女たちのライヴで、その声の資質を体感してもらいたいと思う。

この後のモグ・ライアンのMCも重要だった。
「みなさんが、こうやって一緒に踊ってくれたり楽しんでくれたり、すごい大きな愛をくれるから私たちはこうやって死に物狂いでがむしゃらに歌い続けていけるんだなって思いました。その愛に私たちはまだ愛では返せないかもしれないんですけど、私たちの精一杯の気持ちを届けます。私たちのいまをどうか見ていてください。」

そう言って、ナアユ作詞の「生きていたいと思わなかったのに 生きていたいよ」とならず者の存在に感謝する “I wanna live”へと続いた。ナアユが置き土産のように書き綴ったこの言葉に、メンバー全員が同調しているのが伝わってくる。そして、2人ずつ交互に歌うのがとても力強い“WASTED TEARS”、ユメカ・ナウカナ?が悶えるように叫ぶ“SAKEBE”、セカンドアルバムの中でも人気の高い“M”、そして代表曲“A song of punk”で本編は終了した。いやはや、このラストスパートは本当にエモくて、感激の拳を上げてしまった。
アンコールのMCは、以下(一部抜粋)。

ナ前ナ以「この髪型とかANAL SEX PENiSとか、超意味わかんなくて、超かっこいいです。私、ASPの曲も音も歌詞も全部かっこよくて、本当に大好きです。いまは、笑う人がいるかもしれないけど、私たちはこれを常識にしてみせます。常識にしてみせるっていうか、この世の常識をぶっ壊してみたいです。だから、この場所は絶対に誰にも譲ることはできません。」

モグ・ライアン「自分を殺してかっこいいところを見せてれば、かっこいいのかなって思っていたけど、そんなん全然ダメで。もっと私はASPに本心をささげたいし、こんな自分を出したくないみたいな堅い感情はもう嫌で、私は今日みなさんとライヴをしててひとりひとりの顔が見えて、一瞬一瞬に勇気をもらって、ここに全部嫌な自分は置いて帰りたいなって思いました。」

ウォンカー・ツインズ「毎日、飯食って、風呂入って、なんの楽しみもないまま部屋で引きこもりのまま本気で死んじゃうんじゃないかなって思っていたときに、WACKに出会って、ASPに出会いました。私のはじめての人生の希望で、私が唯一やりたいものです。ASPに入ってから、人生の楽しみがいっぱい増えました。そのなかでも、いちばんは力強いメンバーとかっこいい音楽を歌って踊って大切なならず者と一緒にいるこのライヴです。」

マチルダー・ツインズ「私半年前まで子ども部屋でWACKの楽曲を歌って踊っていました。でもある日、歌声がカーテンや窓を通り越して、外にいる親にまで聞こえちゃって、しかも奇声だと勘違いされて、めちゃめちゃ怒られたんです。近所迷惑だってすごい怒られて、そのとき私はこんなに好きなものをなんで隠しているんだろうって思って。でも半年後のいまは、ステージというなんでもさらけ出せる場所に立っていて、その姿を観てくださるみなさんに出会いました。子ども部屋なんかじゃ比にならないぐらい大きな場所で必死に生きてるって胸を張って言えるようになります。」

ユメカ・ナウカナ?「私は、諦めが本当に悪いんです。欲しいもののためならば、いつのまにか何千回やっちゃうんですね。それは今もで、大好きなならず者のみんなの笑顔のためなら何千回何万回でも、踏ん張ってでっかい夢を掴んでやろうって思うんです。絶対でっかい夢を掴んでみせるんで、これからもならず者のみんなにはASP、そしてユメカ・ナウカナ?に期待していただけたら嬉しいです。」

それにしても、彼女たちはMCがとてもうまい。簡潔だし、自分の気持ちに素直だし、聞いていて人間性が手に取るようにわかる。そして、アンコールでは4月に出るシングル曲“BOLLOCKS”をやってくれた。象徴的なギターフレーズに乗せて「優しさとか愛しさとか遠い昔から興味ない」とASPらしい歌詞が爽快な曲だ。そして最後は、ファースト・アルバムの1曲目、代表曲の“拝啓ロックスター様“で締めた。落ちサビ、モグ・ライアンの「時代外れのロックスター」のセリフは、本当に素晴らしかった。

まずは、ワンマンでは初身だったマチルダーとウォンカーのツインズ。ライヴ序盤は気になるところもあったが、中盤からはしっかり声も出てきたし、ピッチも安定しているし、踊りも間違えないし、MCもうまいし、あとは声が続くようになれば、ウルトラツインズになる可能性を無限大に秘めていると感じた。

そして今日のASPだ。これは随分偏った見方だが、Zepp Divercity埋まらなくてよかったんじゃないかとさえ思っている。埋まらないことなんかただの現状把握でしかない。それよりも大事なことは来てくれたお客さんに気持ちとやりたいサウンドが伝わることだし、必死にがむしゃらにやって、自分たちのスタイルが、来てくれたお客さんに伝わったことを確信することの方が大事だと思う。そして今日は間違いなく伝わったと思う。めちゃくちゃエモかったし、感動的だったし、でも他のWACKのグループとはまた違って、彼女たち自身の魅力を確立していける、そんな可能性をメチャクチャに感じることができた。もちろん、今のままではダメなこと、違うトライもしていかなければいけないことが明確になったことも、彼女たちにとっては本当に大きなプラスだと思う。

伝説のパンクスは言っていた。「すごいことは20人の前で起こっているんだ」と。そういえば、初期BiSの国技館だって埋まらなかったけれど、その日のライブは、アイドル業界に大きな大きな風穴を開けたし、彼女たちは、その後横浜アリーナまで行った。今日は、不思議とASPをみながら初期BiSを思い出してしまった。彼女たちがやっているサウンドは、それくらい今のシーンの中では尖っているし、でもそのサウンドとパフォーマンスを信じて貫いて欲しい。そうすれば、かならずZeppは埋まるし、もっとでかいところが見えてくるだろう。今日のライヴで、僕はよりASPが好きになったし、また追いかけ続けたいと強く思ったのだ。

文 : 飯田仁一郎
構成 : 東原春菜
photo by sotobayashi kenta

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2022年2月21日(月)
〈ANTi SOCiAL PAiNS〉@東京・Zepp DiverCity
1. HATRED of LOVE
2. レリゴ
3.DiVE
4. いつでもファッ️キュー❤️
5. ITSUMO KOKOKARA
6. WAiT and WASTE
7. NO REASON
8. GAZE
9. You don’t say
10. 日々是虚無也
11. The Emperror’s New Clothes
12. BE MY FRiEND
13. WARRiES
14. Just do it
15. GO STRAiGHT
16. the MAN CALLiNG
17. 被害者ぶるな
18. TRUST MY SELF
19. マジ無いです。
20. NOW or NEVER
21. Let’s go as a weirdo
22. I wanna live
23. WASTED TEARS
24. SAKEBE
25. M
26. A song of punk
EN.1 BOLLOCKS(新曲)
EN.2 拝啓ロックスター様

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■ASPメンバー公式アカウント
ユメカ・ナウカナ? : https://twitter.com/ASP_YUMEKA
ナ前ナ以 : https://twitter.com/ASP_NAMELESS_
モグ・ライアン : https://twitter.com/ASP_MOGRYAN
マチルダー・ツインズ : https://twitter.com/ASP_MATiLDER
ウォンカー・ツインズ : https://twitter.com/ASP_WONKER

ASP 公式twitterアカウント : https://twitter.com/ASP_idol
ASP 公式SoundCloud : https://soundcloud.com/asp_idolude

■ASPライヴレポート
2021年8月24日〈TOUR STARFUCKERS〉 : https://ototoy.jp/news/102939
2021年7月4日〈ASP’s on FiRE TOUR〉 : https://ototoy.jp/news/102325
2021年5月30日〈これはASPのワンマンです。〉 : https://ototoy.jp/news/101837
2021年11月24日〈MARCH of ROGUES〉https://ototoy.jp/news/104302

■OTOTOYでの個別インタヴュー連載【行かなきゃ ASP】はこちらから!https://ototoy.jp/features/series/%E8%A1%8C%E3%81%8B%E3%81%AA%E3%81%8D%E3%82%83+ASP

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