2022/10/31 12:00

Niños del Cerro 『Suave Pendiente』

2018年に〈Primavera Sound〉への出演経験を持つチリの5人組バンドによる最新作。スペイン語の独特な響きとドリームポップ、サイケ、オルタナティヴ、フォークといった要素を交える柔らかさとエモーショナルさを兼ね備えたロック・サウンドが痛快。主旋律を同じキーで多重録音し、そこへさらにコーラスを重ねるという歌のハーモニーや響きへのこだわり強さはもちろん、温かなメロディにノイズをたっぷりと乗せてくるところも好印象。ビートルズの系譜を辿りつつも、現代的にアップデートされたサウンド・テクスチャーでSigur RosやTeenage Fanclubらにも通ずる美学を持つ良いバンド。音量大きめで楽しむのがおすすめ。

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Skullcrusher 『Quiet the Room』

LAのSSW・Skullcrusherことヘレン・バレンティンによるデビューアルバム。"天使の歌声"とも評されたジェフ・ハンソンを彷彿とする神秘的で透き通るハイトーンボイスと柔らかなアコースティック・ギターは癒しそのもので、いつ何時、いかなる場所でも瞬時に桃源郷へと誘う。ところが、まろやかな空気を暗闇に呑まれるようにノイズが侵食してくることもあれば、四つ打ちビートにシンセをレイヤリングして追い立ててきたりと、柔らかな空気のまま終わらないのが本作の真髄。幼少期の思い出の美しさとそれを蝕む不穏さ、複雑な心を穏やかにもなりきれず狂うこともできない思考で投影したであろう、その不安定で繊細なバランスが美しい。

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Living Hour 『Someday Is Today』

2019年の『Softer Faces』が素晴らしい出来だったカナダのインディーロック / ドリームポップ・バンドによるサード・アルバム。Beach Houseを彷彿とさせる温かで豊かな楽器の音色たちときらびやかで壮大なサウンド・スケープは、前作の流れを確実に汲みつつもその世界観をさらにスケールアップ。「1曲ハマれば全部好き」といえるぐらいの統一感がある中で、盟友Jay Somを迎えて収録された"Feelings Meeting"は今作のギャップ的存在であり、穏やかなメロディから途端にノイジーで力強いバンド・サウンドへと変化する瞬間なんかはもうたまらない。優しさや柔さだけでなく、鋭さやバンドのエネルギーを確かに感じる1枚。

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