2022/10/04 12:00

Hodge 「Sub 100」

「来日が楽しみだなー」の一つといえば、10月の〈Rainbow Disco Club〉への出演を控えているホッジも挙げられるでしょう。特に、先日のTREKKIE TRAXのパーティー@CONTACTでの来日が公演直前にキャンセルとなっていたため、今回の〈RDC〉でアナウンスされたときには歓喜の声をあげた方も多いのでは。そんなブリストル出身の英才は、同郷〈リヴィティー・サウンド〉や〈ウィズダム・ティース〉、〈ハウンズトゥース〉などUKレフトフィールド・ベースの名門レーベルから精力的にリリースを続けています。9月に発表されたばかりの最新シングル「Sub 100」は、彼が新たに始めたレーベル〈トゥー・ムーン〉からのファースト・リリース。トライバルな迫力と一切の人情を感じさせない冷たさを兼ね備えた、まさにホッジ印のサウンド。これが川崎の湾岸工場地帯に響くことを想像すると震えますね。

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Lis Sarroca 「Ghost House EP」

英南西部の港町ブリストルに拠点を置くレーベル〈シャル・ノット・フェイド〉はリリースの量・質ともに近年のハウス・シーンにおけるトップランナーのひとつと言えるでしょう。〈NC4K〉を主宰している京都在住のStones Taroもカタログに並ぶUKGライン〈タイム・イズ・ナウ〉からの作品群も含めると、毎日のように届くBandcamp経由のリリース・メールをチェックするだけで一週間が過ぎていくほどです。バルセロナ在住のこのリス・サロッカも、〈シャル・ノット・フェイド〉の現在の活況を象徴する存在。昨年の私的ベスト・ハウス“Hi Montana”を収録した『No Wait EP』に続き、今回も傑作です。BPM100、ピリッとした緊張感が堪らない表題曲に加え、〈スタディオ・バーンハウス〉からのリリースで知られるMLiRがサイケなニュー・ディスコに仕上げたリミックスもグッド。

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Taro  Nohara 『Poly - Time Soundscapes / Forest Of The Shrine』

最後はDJ/ラッパーのやけのはらがTaro Nohara名義でリリースしたアンビエント作品を紹介。氏のレフトフィールドなサウンドへのアプローチは、近年UNKNOWN MEでの活動や自身の前作『Hyper Nu Age Tekno』で豊かな成果をあげてきたように思いますが、今回は(特にその前作と比較すると)ビートの要素は控えめで、より環境音楽的な角度からサウンドスケープを描いています。アルバムは二部構成になっていて、“Poly - Time Soundscapes”と題されたAサイドは、シンセサイザーで作られた宇宙に電子音やグリッチ音が瞬く穏やかな音世界。Bサイド“Forest Of The Shrine”の4曲には和太鼓でしょうか、打楽器が使われており、日本の伝統音楽を想起させるメディテイショナルな作風です。タイトルはShrine.jpへのリスペクトも感じましたが、どうなのでしょうか。リリースは、清水靖晃や高田みどりなど日本のニューエイジ~アンビエントを精力的に発掘しヨーロッパへと紹介してきた〈WRWTFWW〉より。そうした潮流からこの作品を位置付けることは、筆者は知識も理解も乏しいので控えておきますが、現在の音楽家や作品に光が当たるのはとてもいいなと感じています。

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