93poetry『「よ」』
「おしらせ」や「時をかけるおじさん」で強烈なインパクトを与えたポエトリーリーディング・アーティストの93poetry。アルバムを聞いて改めて感じたが、言葉選びの軸は、ハイセンスさよりも共感力に重きを置いている。当たり前が繰り返される日常や社会的価値、自分との向き合い方など、ほとんどの人間が共感できてしまう穿った言葉選びが全曲通して感じられた。特に「エモい」はファンから発せられた一言から丸々1曲を書き上げた作品で、職業柄というのもあるだろうが、とにかく普段から反芻しまくらないと書ききれない作品だろう。アルバムを通してフィーチャリングがないのも印象的。大衆に届くような日常的表現が吐露されてはいるが、聞いているだけでどこか面と向かって言い聞かされているような感情になれる1枚だ。
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惑星ちる 『スパイカ』
彼女の持つキャラクター性が音楽としてパッケージ化された初のEP「スパイカ」。活動2年間の集大成として世に送り出した作品は、彼女がどういったVtuberであるかを示した名刺代わりとしてもかなり効果的だろう。”星”を元にした楽曲が多いが、その中で独創的かつ自身の世界観を満遍なく落とし込んでいる。そして楽曲のバラエティも豊かで、ファンを想い綴った「星ちる夜のおはなし」やジンタっぽい曲調と歌詞のギャップが楽しめる「パンスペルミア・サーカス」など、本格的な側面と遊び心をうまく調合させたような楽曲が並んでいる。総合的に見ると、少し曖昧な表現をしてしまうが、いい意味で一貫性があって一貫性がない。そんな自分の世界観、ファンへのメッセージ、そしてジャンルに縛られたくないクリエイターとしてのこだわりがひしめき合った作品になっている。
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ピーナッツくん 『Walk Through the Stars』
幕張メッセで開催された大型ヒップホップ・フェスティバル「POP YOURS」の出演も果たし、ラッパーとしての認知も上がってきたピーナッツくん。前作『Tele倶楽部』からごっそり毒気を抜いたような仕上がりとなったニューアルバム『Walk Through the Stars』では、Age Factoryのnerdwitchkomugichanが全曲トラックを担当。毒気が抜かれたとは言ったものの、楽曲自体はメロウで聴きやすさに磨きがかかっているだけであって、ピーナッツくん自身の伝えたいことはしっかり発露されている。活動における身近な事象や環境を上手くリリックに落とし込む能力と、メロディックで耳に残るようなフロウは相変わらず凄ましい。「グミ超うめぇ」のリバイバル的な「KFC」など、遊び心もふんだんに詰め込まれている。
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