2022/07/20 22:00

これはこうやって一緒に楽しめばいいのかな

──メジャー側の曲に関しては、最初にあった戸惑いがどこかのタイミングで切り変わったわけですよね。きっかけはなんだったのでしょうか。

プー・ルイ : 私はその6月12日ですね。お披露目の前にMV撮影があったんですけど、そのときは笑顔で楽しくやるのか、かっこいい感じでやるのかまだ掴めてないまま終わっちゃったんです。でも、みんなの前でライヴしたときに解釈が変わったというか。もっと前向きに楽しめばよかったなと思いました。撮り直したいくらい(笑)。もちろんあのときにできることはやったんですけどね。お披露目を挟んで撮っていたら違うものになっただろうなとは思います。そのくらい、6月12日はメンバー全員が色んなことを感じた日でした。

──ブタ山さんとしては、違和感のようなものは意図したことではあるわけですよね。

ブタ山 : 違和感を入れたいというよりは、いままでのものをなぞるだけではないことをしたかったんです。ファンの人に納得してもらった上で、外側の人も巻き込みたかったので、新しい面を見せたいというところですかね。新しいものを見たときは、当然、違和感も出てくるものだと思います。

──ちなみに現時点ではその違和感は感じますか?

ブタ山 : まったくないです。やっぱりメンバーのパフォーマンスが全然変わりましたし、それを受けるお客さんの反応も全然変わったなというのはツアーを回り出したことで感じています。これは言っていいのか迷いますが……僕はまだ顔を隠している状態なので、お客さんのなかにいられるんですね。そこでちょっとした会話もできなくないんですよ。自分の立場を知られないまま、生の声を聞けているんです。

──へー! 本当に客席に紛れ込んでいるんですね。それはおもしろい。

ブタ山 : だから楽しみはじめてくれているなというのを直で感じることができる。先日の福岡、名古屋もめちゃめちゃ良くて、楽しかったんです。反応がどんどん変わってきているのを感じますね。

プー・ルイ : 私は曲が好きになりました。じつは最初、セトリに組み込めないっすよ、って思っちゃってたんです。いまはもう2回やりましょ、くらいの変化があります(笑)。やっぱりやらないとわからない。この2年間、PIGGSをやっていくなかで、制作チーム含めて頭が固くなっていたんだなと。はじめてのプロデュース業なので、渡辺(淳之介)さんからも「軸をちゃんと持ちなさい」と教えていただいて。私はそれを頑なに守らなければって考え過ぎていたんですよね。「PIGSSはこうあるべき」というのを突き詰めなくちゃって。そこに今回、新しいパンチを食らわされて全員が気づいたというか。アイドルはもっと自由だよねって。

──もともと頑固なところがありますもんね。

プー・ルイ : ふふ(笑)。そうやって私が変わっていくのと一緒にファンの人も変化していってくれたのかなと思います。これからはなにを出しても、もっと楽しめる状況は作れたのかなと思います。これをやらずにメジャー・デビューしたら「PIGGS変わっちゃったな」ってなったのかもしれないですけど、今回の企画を経たことによって、「これはこうやって一緒に楽しめばいいのかな」ってなれるのが大きな収穫でした。

──そうなったのは、とりもなおさずブタ山さんの用意したものが良かったということだと思うんです。メジャーは予算が違うという話はよく出ますが、お金さえあれば良いものが作れるというわけでもないじゃないですか。それ以上に……これは上から言うわけではないですが、ブタ山さんの経験やセンスが信頼に足るものであり、PIGGSの新たな要素としても素晴らしい作用があったということなのではないかと。

プー・ルイ : それはめっちゃでかいです。今回の企画の性質上、最初は構えて見られちゃったけど、もし中途半端なものだったら、いまのようにはならなかったと思うので。私も、もし認められない曲だったら一生セトリに入れないくらいの性格ですし(笑)。そもそもこの企画をやる前から、PIGGSが熱すぎるのは問題だねっていうのはあったんです。

──熱いのが問題?

プー・ルイ : うーん、なんというか、野蛮というか。たとえば世間一般の女子高生が見たときに、かわいいと思ってもらえないというか、味濃いなーと感じるのかなというのは課題としてあって。味の濃さを届けるために大衆へのアプローチの必要性は感じているんです。「聴くぞ!」って意気込むのではなくて、なにも考えないで散歩中に聴けるものも大事というか。もしかしたらそれがサブスクやMVの再生回数の差に出ているのかなと。

──しかし、なんとなくわかるとはいえ、この話を進めていくとどちらがメジャーかインディーの作品なのかがはっきりとしてしまう気がします(笑)。(※以後、一部の発言者をボカします!)

??? : 「BURNING PRIDE」の詞を読み解く感じとは違って、「豚反骨精神論」の音で楽しむ作りはおもしろいですよね。

──歌詞を全編伏せ字にして視聴者に当ててもらう企画「#豚反骨精神論への挑戦」は、曲を何度も聴かざるを得ないですよね。ストリーミングなりYouTubeなりを再生するしかない。そういった意図があったのでしょうか。

??? : その意図です。

??? : 策士ですね(笑)。

??? : 当たり前ですけど、たくさん聴くと曲が入り込んでくるじゃないですか。制作を進めていくなかでああいう歌詞が出てきたので、この詞だったらこういう企画にすればたくさん聴いてもらえるし、たくさんYouTubeを見てもらえるだろう、この曲を好きになってもらえるだろうというのがメインです。ファンの方も楽しんでくれるかなと。

PIGGS / 豚反骨精神論
PIGGS / 豚反骨精神論

??? : そしたら、答えが出るのが早過ぎましたよね(笑)。

??? : めっちゃすごいなと思いました。最初は、最後まで誰もわからず、「答えはこうだったんだ!」ってなるのを予想していたんです。あまりにも難しいから大丈夫かなって話し合ったくらいで。まわりに聞いたら「できるわけない」という答えしか返ってこなかったんですよ。

??? : それが一晩かからず解明されて。だって、歌詞通りに歌っていないところもあるんですよ?

??? : “汗も注入world”も、“注入ウォー”としか歌ってない。それが英語で小文字ということまでどうしてわかるのっていう(笑)。“ノーガード”も“ノーガー”って歌ってますし。PIGGS愛が本当にすごいです。

──ちなみに最初から歌詞はこうだったんですか?

??? : 最初は全編テキトー英語で、それをブタをテーマにしてうまく日本語にしたらおもしろいんじゃないかという提案があったんです。それでこういう形になりました。

??? : 実際、必死に聴いてたら好きになったってツイートもありました。

──してやったりですよね(笑)。一方の「BURNING PRIDE」の歌詞に込められたメッセージは熱いものがありますし、カップリングの「I don't believe in ADULT」ではそれがより明快になっていますよね。対大人であると。

??? : 特にカップリングは暴走してますよね(笑)。それでもまだどっちがどっちが作ったのかは本当のところはわからないし、両方ともインディー説もあるみたいで。

PIGGS / BURNING PRIDE
PIGGS / BURNING PRIDE

[インタヴュー] PIGGS

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