水曜日のカンパネラ 『ネオン』
昨年9月に詩羽（うたは）が2代目「主演」を襲名した水カンの新体制第1弾EP。光沢があって甘い詩羽の歌声にはコムアイとはまた違った魅力があって、「卑弥呼みこみこ」（“卑弥呼”）や「猫」（“招き猫”）のキュートな「鳴り」は彼女ならでは。xiangyu、ソロ、外部との仕事で経験を積んだケンモチヒデフミの曲作りもさらに手数が増えていて、J-POP的なサビ始まりからハイブリッドなダンス・ミュージックに展開していく “織姫” から快調この上なし。設定とストーリーで聴かせる “エジソン” や “招き猫” はもちろん、モアイ→モヤイ（“モヤイ”）や宮殿→給田（“バッキンガム”）など響きにフォーカスしたモチーフ選びも冴えている。変化・成長こそは水カンのエッセンス。これからどうなっていくのか、いまから楽しみ
柴田聡子 『ぼちぼち銀河』
前作『がんばれ！メロディー』（2019年）で結成したバンド、inFIREとのコンビネーションがいっそうこなれて、歌声も柔らかさと力強さを増した感がある。 “ようこそ” や “夕日” の話し言葉のリズム感、 “MSG” の最後の「ヒヒヒヒヒヒヒ～」というスキャット、 “サイレント・ホーリー・マッドネス・ミッドナイト” の「ホームアローン見よう／そんで寝ちゃおう」のプレイフルな歌唱など、響きの快さは器楽的と言ってもいい。 “雑感” “旅行” “24秒” あたりに顕著な通り、ブラック・ミュージックの影響が前面に出てきていることと関係がありそうだ。歌詞はもちろんすばらしいが、そちらに耳がいきすぎない好塩梅。ちょっとナタリー・プラスやファイストを連想させる混淆的フォーク・ロック。ジャケットに載った英題『Bochi Bochi Galaxy』も好き。
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ベッド・イン 『FREEDOM!』
クラウドファンディングで1300万円といういまどきバブリーな金額を集め、結成10周年イヤーを景気よく突っ走るベッド・インの記念作。アタマ2曲では、ライヴ映え確実なハイエナジー・ロックに乗せて、愛と自由と尊厳を歌い上げるエンパワメントを連打。中軸をなすのは “満月のEXTACY” “Midnight Taxi” “シャンパンみたいな恋” などのセクシー歌謡スタイルで、パワー・バラード “SHINE ON MY WAY”、ファンから募った歌詞がノリノリな “GALAXY POLICE～夜を飛び越えて～” 、爽やか青春ロック “君にこの愛を” などがいい味を出している。過去の曲名を歌い込む “Congratulations!～ウチらハイパー☆バブル～” はベッド・イン流 “微笑がえし” 、もとい “20th Party” か。聖子ちゃん並みに末長くギラギラ輝き続けてほしい。
