もうBiSHのことしか考えてなかった
──今年もぜひ観たいですよ。で、年明け早々に“FiNAL SHiTS”が発表されて。エモすぎません?
アイナ : 好きですか?
──僕はああいう曲に弱いんですよ。
アイナ : “FiNAL SHiTS”がきたとき、リンリンが「歌詞を見て泣きそうになった」って言ってたし、その通りで。歌割りもサビをみんなで回す感じで、誰かが多い少ないとかじゃなくて、みんなで歌って、歌のバトンリレーをしっかりBiSHで回して、みんながステージの上で「私たちはBiSHです」っていうのを証明できる曲だなって。新しいアンセムだと思うし、めちゃめちゃ好きな曲って思ってます。
──アイナさん好きなんですね?
アイナ : はい!
──大喜多正毅監督のMV撮影はどうでしたか。
アイナ : 大喜多さんはもう考えすぎなくらいBiSHを想って、愛を持って接してくださって、たぶんもうきつかったと思いますよ。朝起きてもBiSH、昼もBiSH、夜もBiSHで、撮影の2日前とかに福岡までライヴを観に来てくれて。“FiNAL SHiTS”を撮る時期って、もうBiSHのことしか考えてなかったと思うんですよね。その大喜多さんが考える“BiSHの未来図”みたいな。清掃員の人たちがいま見てる私たちの現状をしっかり捉えてくれて、乗せてくれるてるんですよ。見たことある光景を入れてくれていて、でもみんな不安な顔してる。だからこの未来図を私たちが絶対にやるとは言い張ってない、みたいな証明にもなってるし。めちゃくちゃいいですよね。
──あれはそうなりたいっていう表明じゃないんですか。
アイナ : もちろんそうです。だって誰もわからないじゃないですか? 私もずっと歌ってられるかわからないし。いまのBiSHのメンバーがあの通りに進むとは断言できない。目に見えてることが全てじゃないから。MVで私も泣いちゃってるし、リンリン、チッチの3人で泣いててみたいなところも、そこを別にそんなに汲み取らなくていいかなって。もしかしたら泣いてない3人のほうがすごい泣きたい気持ちだったかもしれないし。
──なるほど。でも観てる人間に対して、間違いなく感情的にさせるMVですよね。
アイナ : そうですね。あのMVを観て、私もめちゃくちゃ泣いちゃいました。もう何回も観ましたし、パパもママも泣いてました。私は大喜多さんのことがすごく好きなんですよ。すごく丸裸でぶつかってくる監督なんです。どこも嫌な要素がないというか、どうにかしてでもBiSHを良く見せようとしてくれる、それが生々しくても、覚悟がある。かっこいいんで。そんな監督の前だったから涙が勝手に出たっていうのもあるかもしれない。
──ダンス・バージョンは振りがセルフ・オマージュで、アイナさんのエモーショナルが全部詰まってるように見えました。なぜああいう構成にしようと思ったんですか?
アイナ : 過去の歴史の振り付けをなぞったところもたくさんあるけど、どっちかっていうと、この12ヶ月連続リリースにおいては、なるべく清掃員とライヴで一緒に踊れる振り付けがしたい、だから自分たちをかっこよく見せるとか、こんなにダンスが上手いんだとかじゃなくて、馴染みのあるものをやっていきたいなと思って。だからサビでまず、“BiSH-星が瞬く夜に-”の振り付けがちょっとカクンって壊れちゃったみたいな、人形が壊れたみたいな動きをしたいな、みたいな。初期のピュアさはもうなくなってきたけど、「カクンとしててもやり続ける、私たちはそんな状況でも踊っていきたいんだ」みたいな気持ちを入れようって思っていました。あとはアユニとリンリンがもがいてる場面があるんですけど、リンリンは“優しいPAiN”の動きをしてて、アユニはその“優しいPAiN”の足に付いた重りをずっと振り払ってるんですよ。リンリンとアユニがちょっとリンクしてるとか、あんまり誰にも気付かれてないけど、ただ過去をなぞっただけじゃないんだよっていうのが本当の想いですね。
──しっかりアップデートされているんだ。
アイナ : はい。最後の6人が手を繋いで離れていくのとかも初めてやったんですけど、みんなで結構リアルに手がはち切れそうになるくらい引っ張り合うんです。はち切れそうになっても4歩歩かなきゃいけなくて、4歩目とかもうマジで痛いんですけど、頑張ってみんな繋いでて、4歩目でバンって手を離したら、そのときはもうお客さんのほうをしっかり向いてるんですよね。ギリギリまでどんな状況でも6人でいるけど、「離れても清掃員のほうを向いているよ」「清掃員の前でなくても生きてるよ」っていう私のメッセージ、そういうポジティブな意味で前を向いてるんです。
──いやー、もう泣けるじゃないですか。2月に出る曲はどう捉えたらいいんですか? “ぴょ”(笑)。
アイナ : “ぴょ”はMVがおもしろい。12ヶ月連続リリース最初の“FiNAL SHiTS”がめちゃくちゃエモくて、私がもし清掃員だったらこのエモさがもう1回続くと苦しくなると思うんです。私「BUMP OF CHICKENが終わる」って言われて、「1曲目こんな泣いちゃう曲ないよ!」って思ってて、次も泣いちゃう曲だったら「3ヶ月目、私死んじゃう」ってなっちゃう。つらすぎて。「もう、1回ふざけて欲しい」ってバンプにも思うだろうから、“ぴょ”は、そのいいスパイスだと思います。