和田彩花 『私的礼賛』
アンジュルムを卒業した和田が最初に発表した全編フランス語の “Une idole” は本作にも収録されている。「アイドル」を名乗ったまま学びと自己研鑽を重ね、活動の幅を広げる彼女は、アイドルという芸能スタイルに変革を加えようとしているかのようだ。この1stアルバムではバンドあり打ち込みありのオルタナティヴ・ポップに乗せて私的/詩的な言葉を綴り、涼しげな歌声を響かせ、詩を朗誦する。バック・バンド「オムニバス」のベーシスト劔樹人は過日「『和田彩花とオムニバス』というバンドの名前は、『マーク・スチュワート&マフィア』に近いニュアンスです」とツイートしていた。
w-inds. 『20XX "We are"』
デビュー20周年のw-inds.、二人になって最初のアルバム。前作『100』に続いて全曲を橘慶太が自らプロデュースしているが、千葉涼平の入りどころの的確さにはしびれんばかりだ。音楽的なクォリティには定評のある通りだし、今回は歌詞も「不安な時代だけれど自分を信じて前に進もう」というポジティヴなメッセージ満載。“Strip” や “EXIT” には社会への違和感(怒りとも)もほとばしる。“Show Me Your Love” では勝負の虚しさも歌うが、負けず嫌いな強さがあるから「戦友」たるDA PUMPとLeadを迎えて盛り上がる “The Christmas Song” の楽しさやシンプルな “Distance” の優しさも胸に沁みる。
土岐麻子 『Twilight』
テーマは夕暮れだという。2年前の前作『PASSION BLUE』までのシティ・ポップ3部作を手がけたトオミヨウをはじめ、関口シンゴ、Shin Sakiura、Soma Genda、佐々木萌、Teje、麦野優衣、韓国のアーティストLambC(レムシ)、TENDREが曲を提供し、作詞は土岐自身。 ほとんどはミディアム~スロー・ナンバーで、ひとり物思いにふけるようなノスタルジックな歌詞が多いのもテーマに沿っている。数少ないアップテンポのひとつであるLambCの “Mirrors” は多種多様な世界の人々の「おんなじ願い」を鏡がつなぐイメージとサビの押韻が心地よく、アルバム全体の好ましいアクセントになっている。