2021/12/29 17:00

SKY-HI 『八面六臂』

タイトル通り大活躍のSKY-HI社長、オリジナル・アルバムでは初めて多数の客演を迎え、おなじみの構築志向を離れて偶発性に身を委ねた作りが新鮮だ。序盤3曲では孤独に吼えるが、s**t kingzが主役の “Oh s**t!!” から色合いが変わり、“Dive To World” では山中拓也、“Holy Moly Holy Night” ではちゃんみなと楽しげにロック(後者ではジャイヴ!)し、『THE FIRST』出場者をフィーチャーした “14th Syndrome” や “One More Day” では後ろに退いてみせる。フックアップには定評のある人だが、兄貴分として若者たちを引き立て見守る姿には感動してしまった。フェイヴァリット・トラックは “仕合わせ”。

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ELAIZA 『失楽園』

アタマ2、3曲を聴いた時点でただものじゃないと感服した。Yaffle、麦野優衣、木村貢、最果タヒ、春日俊亮など多彩な作家陣(若手多め)による歌謡色濃厚な曲を演じるように歌っていて、古今東西の「役者の歌」の伝統を継承しつつ、声のよさと高い歌唱力で楽しませてくれる。ロイ・オービソンの “Oh, Pretty Woman” で見せる婀娜なニュアンスもすばらしく、SOIL & "PIMP" SESSIONSと共演した “夢街” はチャイコフスキー “くるみ割り人形” をモチーフにして出色。“愛だの恋だの” “Paradise Lost” の2曲を提供しているullaomote(illiomote)は同性・同世代なのもあってか相性バッチリだ。

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rowbai 『Dukkha』

静岡出身、現在は東京在住のMayu Inabaのソロ・プロジェクト。LOW HIGH WHO? PRODUCTIONSから3作めのリリースだが、アグレッシヴな尖った音色が縦横無尽に飛び回り、鋭さと温かさが交錯するサウンドスケープはちょっとArcaや故Sophieを彷彿とさせる。LHW?の先輩ラッパーKuroyagiをフィーチャーした “Kāma” “Gōma” のゴリゴリから “brain fog” や “Recovery” の柔軟まで幅があり、“Period” ではその中間のような歌/ラップを聴かせる。初めて聴いたが蓋し才人。トラック・メイカーとしてもシンガーとしても、たぶんこれからさらに大きく進歩していくはずだ。

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この記事の筆者
高岡 洋詞

フリー編集者/ライター。 近年はインタヴュー仕事が多いです。 https://www.tapiocahiroshi.com/

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