余白をどう作るかは常に考え続けてます
──では、2曲目の“Amazon (feat. どんぐりず)“は、どうやってどんぐりずが参加することになったのでしょう。
稲葉 : 渋谷で対バンしたときにすごく仲良くなったんです。もともとリミックスで招いて、コラボしようという話はそのときからあったので、そのノリでお願いしたんです。そしたら「やりましょう!」って言ってくれて。
──どんぐりずとは、どういった部分で波長があったんですか?
熊谷 : 聴いている音楽がお互いすごい好きな感じだったんです。
橋本 : 彼らもバンドをやっていた人なので、音楽的なところでもちょっとクロスオーバーする感じがありました。あとやっぱりマインドも近いのかなと思います。僕は自然体な人が好きなんですけど、どんぐりずってすごくフラットな人たちなんですよね。
──この“Amazon (feat. どんぐりず)“はどうやって作っていったんですか?
熊谷 : これは、「前作のアルバムに収録されている“IKEA”の頭部分のサックスのフレーズをベースラインにしたい」みたいな構成がもともと薫くんにあって。そこから「大体こういう感じで」っていうイメージを薫くんが伝えて、どんぐりずに丸々作ってもらいました。
──歌詞はお互いが持ち寄って書いたの?
橋本 : そうですね。どんぐりずと共作する話が固まってから、どんぐりずの家に遊びに行く機会があって、彼らが住んでいる群馬まで遊びに行ったんです。元ネタの“IKEA”は、大量消費社会への疑問について触れている曲なんですけど、そういう意味合いを踏まえながら、どんぐりず側が思う気持ちと、会話の内容から歌詞を作り上げていって。先にどんぐりずのふたりがデモに歌詞を入れてきてくれたんで、それを読みつつ、僕がそこに合わせる形で作り上げました。
──“GNIBN II (feat. PEAVIS, CHAI)“もそうだけど、橋本くんの歌詞は“ポジティブだけじゃない裏側“があるというか、そのバランスでいつも遊んでる気がします。
橋本 : 特にここ近年はそうですね。ハッピーだけって気持ちいいですけど、リアリティがあまりない気がして。でもただリアルなことを書き連ねていたらただの日記というか、あんまり余白がない。だからその余白をどう作るかは常に考え続けてますね。
──なるほど。3曲目の“眠ったふりして“はFrascoさんがリミックスを担当していますけど、どういう繋がりなんでしょう。
熊谷 : 僕が別でやっているバンドで親交があったんです。ヘルシンキとあいそうだなと思って、みんなも「いいね!」ってなって、お願いしました。
──原曲は気持ちのいい感じだけど、このリミックスはだいぶ印象が違いますね。
熊谷 : だいぶパンチがある仕上がりですよね。思ったよりぶっ壊してくれたなって思います。僕らにはない発想だったので、本当にすごいなと思いました。
橋本 : 原曲に寄り添った感じのリミックスより、かなり解体して再構築されているこっちの方がむしろあっている気がしますし、結果的によかったですね。