ピーナッツくん 『Tele倶楽部』
1stアルバム『False Memory Syndrome』から1年の時を経て、2ndアルバム『Tele倶楽部』をリリース。1stの印象と、インタビューメディア「ニートtokyo」の出演により、さらにhiphop色の強い作品になると予想していたが、その予想はいい意味で裏切られた。音楽性においては、最新の様々なトレンドを取り込んでおり、前作よりも挑戦的な施しが伺える。特にドリルのサウンドでゴリゴリのラップをする”笑うぴーなっつくん”は圧巻だ。そして、トレンド色の強い音楽性に相反して前作よりもVTuberに焦点を当てたものになっている。客演ももちひよこやめがシスターズ、KMNZのLIZなどVTuberの客演も多い。その中でhiphopシーンに身を置くmarukidoの客演により、リアル側とバーチャルの共鳴も表現されている。音楽性は進化しつつ、バーチャルというテーマをさらに深掘りされた至高の作品で、今後どのようなものを作り上げていくのか楽しみでならない。
ππ来来 『Genesis Block』
ππ来来の1stアルバム『Genesis Block』は、持ち前のハイセンスで独創的な楽曲がこれでもかと敷き詰められた1枚になっている。音の1つ1つが仕組みかのように丁寧に連なっており、そこに希来里パイの跳ねるようで掴みにくいボーカルが絶妙に組み合わさって世界観を構成する。人気曲である”ラビュリントス”もそうだが、独創的な世界観に対して感触は柔らかい。聴いていてとにかく楽しいのだ。エレクトロの近未来的な音と、ギターの組み合わせが懐かしさを演出していて、1曲の中だけで様々な表情を見せてくれる。ππ来来の凄さは、ライブのパフォーマンスに集約されると思っていて、Genesis Blockを聴いたらぜひライブも見てほしい。
Marpril 『FROM STAIRS』
楽曲を発信する度にアーティストとして飛躍的に成長を見せるMarprilのミニアルバム『FROM STAIRS』。全曲書き下ろしの本作は、Marprilらしいダンスミュージックが連なっている。成長という面では、ボーカルの力強さに衝撃を受けた。ハードなサウンドと2人の歌声が並走するかのように、とにかく全曲通して迫力のあるボーカルが目立つ。元々、普段のYouTubeでの活動から想像しにくいアーティストらしい歌とダンスのギャップが魅力的だったが、最近ではアーティストとしての存在感が楽曲を重ねる度に大きくなっているのがわかる。聴いていて思わず体が動いてしまう、休む間も与えないようなダンスミュージックと、高揚感に加速度を与えるMarprilのキレッキレのボーカルが堪能できる1枚となっている。
