2021/09/14 17:00

REVIEWS : 029 コリアン・インディ〜レフトフィールド(2021年8月)──内畑美里

“REVIEWS”は「ココに来ればなにかしらおもしろい新譜に出会える」をモットーに、さまざまな書き手が新譜(基本2〜3ヶ月ターム)を中心に9枚(+α)の作品を厳選し、レヴューするコーナーです(ときには旧譜も)。今回は内畑美里による9枚。彼女はイベント「めちゃくちゃナイト」を主催するなど、コロナ禍以前では、日韓両国にて相互にアーティスト / DJを招聘しイベントを開催。双方の音楽交流をまさに現場レベルで行ってきました。今回は“コリアン・インディ〜レフトフィールド”と題して、韓国の音楽シーンからSSWやエレクトロニック・ミュージック、クラブ・シーンなど、さまざまなスタイルの9作品を紹介してもらいました。

OTOTOY REVIEWS 029
『コリアン・インディ〜レフトフィールド(2021年8月)』
文 : 内畑美里

イ・ラン 『オオカミが現れた』

折坂悠太、柴田聡子など日本のアーティストとのコラボなどで日本での知名度も高い、韓国のマルチ・アーティスト、イ・ラン。待望の3rdフル・アルバムをリリース。日本では〈Sweet Dream Press〉よりリリースされています。 リスナーと対話するように、日々の喜怒哀楽を共有するイ・ランの音楽。以前よりその楽曲に参加しているチェロに加え、コーラス部隊やドラムを多く取り入れた壮大でドラマティックな曲。コーラスを重ねて声が混ざり合っていく、まるで大きなテーブルを囲んで家族や友人と会話をするような曲。「オオカミが現れた!」とコーラス隊が叫び、御伽噺の語り手のようなボーカルで進行する童話を読み聞かせているかのような曲。「現社会に生きる」と言うことを音楽と共に真摯に向き合った、豊かで温かく、全身に気持ちの良い風が吹くような、そんな音楽です。 イ・ランの音楽は「豊か」と言う言葉が本当に似合いますね。

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Room306 「ENIAL」

大好きな韓国の電子音楽レーベル〈YOUNG,GIFTED&WACK〉よりリリースされた、これまた大好きなバンド、Room306の新曲です。9月18日には待望のサード・アルバムをリリースする彼ら。こちらはそのアルバム・リリースに先立ってのシングル・カット「DENIAL」。8月20日にはシングル・カット第2弾「NOISE」もリリース済み。今作「DENIAL」は今までの作品の中でも、かなりライトでジャジーな雰囲気に仕上がっています。第2弾の「NOISE」は逆に、前作までの空気感を纏ったチルなエレクトロ・ミュージック。相変わらずハイクオリティな作品を出し続けている………。新アルバムが待ち遠しくて仕方ありません。 Room306の活動の他に、ボーカルのホン・ヒョジンはhit.eunと言うユニットを。Room306のプロデューサー業もこなすFIRST AIDは、同名義でのソロ活動も行っています。これを機に、別プロジェクトの活動も是非チェックしてみてください

V.A.「STARGATE - STARGATEFUNK Vol.1」

韓国ソウルの繁華街、梨泰院(イテウォン)にあるミュージックバー/クラブ〈PISTIL〉で開催されている、モダンファンク・パーティー〈STARGATE〉のコンピレーションです。Mogwaa、Xin Seha、Sin dogg、DJ JeyonのレギュラーDJ陣に加え、CLUB 33(KIRIN&SUMIN)なども参加した意欲作(リリース元は〈8balltown〉!)。 80年代のNYにトリップするような煌びやかなディスコ・チューンの数々。1曲目の「Party」では、マドンナ、ボビー・ナン、メルバ・ムーアなどの名前を歌詞に入れ「We ain't no fun if Heavy bass is none」と歌う、Xin Sehaらしいパーティーと音楽へのリスペクトを感じます(筆者はちょうどこの前、アメリカのドラマシリーズ「POSE」を全話見たので、より刺さったのでした)。Mogwaaの「Noche de Bailar」は最高のハウス・ナンバー。こちらも個人的に超オススメ。誰かDJでかけて!

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