Kabanagu『泳ぐ真似』
インターネット発のプロデューサー、Kabanaguによる7曲入のエレポップEP。quoreeと同じく“マルチネ・リリース”ということが、現代のインディー・ミュージック・シーンの一端を感じさせる。わずか11分22秒の中でメランコリーとポップネスがグラデーションのように変容していく展開には、時間軸をハックされるような体験を覚える。ハイパーポップとJ-POPの隙間を埋める最後のパーツになり得る1枚。SoundCloudにて公開中のphritz, hirihiri,ウ山あまねとの共作曲『all night』と合わせて、ネット・ミュージックの現在地把握に役立つであろう内容だ。
Telematic Visions『TLCD0010』
SoundCloud等を中心に活動する弱冠15歳、2006年生まれのトラックメーカーによる新作シングル。ブレイクコアを基調に、レイヴ~サイケデリック・トランスからゲーム・ミュージックまで、ポスト・インターネットなコラージュ感覚を想起させる音像が魅力的。先述のウ山あまね、Kabanaguといった若手プロデューサーたちの影響を受けた第一世代とも考えられるだろう。 同『TLCD』シリーズは素材の味を活かしたシンセサイザーサウンドを存分に楽しめる内容であるが、前年にはよりエモーショナルな音像の『fictional simulated memories EP』も発表されており、こちらも要チェック。リミックス盤にはアーメン・レジェンドのCDRが参加するなど、キャリア初期の今から既に未来に期待がかかるスケール感。
PARKGOLF『Totem』
tofubeatsらと共に“2010年代ネット・ミュージックシーン”を切り開いた、オリジネーター、PARKGOLFによる4年ぶりのアルバム。SUSHIBOYSやGOODMOODGOKU、Mizu98といったラッパー陣に加え、おかもとえみ(フレンズ)をゲストに迎えた意欲作。それでいて、一切の気負いを感じさせないソフトなテンションに溢れているのは流石の一言に尽きる。電子音楽のアルバムでありつつも、全体的にインディー・ロックのような空気感に溢れた類を見ない不思議な作品。
ピックアップ作品、OTOTOYでのご購入はこちらから