【連載】Episode58 MiKiNA EMPiRE「未来のライヴに繋がる架け橋のようなツアーにしたい」

WACKとavexの共同プロジェクト、EMPiRE。2021年1月4日には〈EMPiRE BREAKS THROUGH the LiMiT LiVE〉を東京国際フォーラムホールAで開催、持ち曲全37曲に加え、新曲「ERROR」、始まりの曲「アカルイミライ」を2回、全39曲をノンストップで披露した。2021年4月からは全国7ヶ所12公演を回る全国ツアー〈EMPiRE ULTRA ViBES TOUR〉を開催。チケットは全公演完売。5月12日には初の両A面シングル『HON-NO / IZA!!』をリリースするEMPiREに、2021年初の個別インタヴューを敢行。第5回は、MiKiNA EMPiREの声をお届けする。
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INTERVIEW : MiKiNA EMPiRE

EMPiREの中でとりわけリスナーとしても音楽を愛してやまない、MiKiNA EMPiRE。2021年3月19日に東京・USEN STUDIO COASTで開催したフリーイベント〈EMPiRE'S GREATEST PARTY -EAT SLEEP EMPiRE REPEAT-〉で彼女は強い手応えを感じたという。メドレーやダンスカバーなどアイドルという尺度を超えたパフォーマンスでエージェント(※EMPiREファンの総称)を踊らせたEMPiREは、グループとしてとてもいい状態にいるようだ。そんな現在のEMPiREについて、MiKiNAに話を訊いた。
取材&文 : 西澤裕郎
写真 : 外林健太
〈EGP〉は、宝物みたいなライヴでした
──現在開催中の全国ツアー〈EMPiRE ULTRA ViBES TOUR〉、手応えはいかがですか?
MiKiNA : すごくいい感じです。名古屋公演を終えた時点で、これまで以上の手応えがあったんです。始めから自信を持ってできているツアーで、自分たちが楽しいだけじゃなく、いいライヴができたことが分かったというか。初日から自分たちで考えて出したセトリではじめたんです。チャレンジすることに対して怖気づかずに、シンプルに目の前にいる人と一緒にいる嬉しさや楽しさを噛みしめることができている。すごくいいツアーになっていると思います。

──ツアーのセットリストもメンバーで決めているんですか?
MiKiNA : メンバーで組みました。公演を重ねるごとにエージェントの反応を見て適宜変えたりしているので、今は初日とは変わっているんですけど、挑戦という意味ではすごく意味のあるものになっているんじゃないかなと思います。
──EMPiREは現在、曲数も多く幅も広いですよね。どういう曲を選んだんですか?
MiKiNA : 最初はバイヴスというテーマ通り、ダンスチューンを中心に組んで。でも基本の形はそんなに変わってないかな。EMPiREのハッピーさが出て、エージェントを踊らせるセットリストがいいなと思って組んでいます。
──全国ツアーでは各メンバーのMCも注目ポイントかと思います。MiKiNAさんはMCでどんなことをしゃべったんでしょう?
MiKiNA : 私は初日の福岡公演でしゃべったんですけど、等身大の自分の言葉で伝えることにしていて。前までは変にかしこまっちゃっていたんですけど、〈EGP〉あたりから、この空気感のまましゃべってもいいんだなと思えるようになったんです。伝えたいことを伝えられんだったら、ゆるゆるしていてもいいのかなと思って話しています。

──今回の個別取材では、メンバー全員の表情がゆるやかになった印象をすごく受けます。
MiKiNA : 年々穏やかになっていているんですよね(笑)。
──MiKiNAさん自身もグループの変化は感じている?
MiKiNA : 感じますね。みんなどんどん素直になっていくし、柔らかくなっているけど、芯はあるんです。芯を持ったまま、より強くなった感じがする。いい空気だと思いますね。
──そうした変化には何かきっかけがあったんですか?
MiKiNA : 秋ツアーを久しぶりに有観客でできて、年が明けて一発目に国際フォーラムで全曲ライヴを一緒に乗り越えたことも大きいし、私的には〈EGP〉が理想のライヴの形だったんです。肩の力を抜いて、自分たちもエージェントと一緒に楽しんだライヴができた。そういう経験や、メンバーと重ねてきた時間など、いろいろ理由があると思います。
──MiKiNAさんの中での理想的なライヴとはどういうものなんでしょう?
MiKiNA : その日、その場所の空気を楽しめるライヴですね。音源をそのまま聴けるのもうれしいけど、その日、その場所にいないと経験・体感できない時間がより多くあったら、いいライヴだなって思うんです。あの日は本当にそういう体験ができる空気だったと思うし、私たちもすごく楽しみに来ていて。メドレーとか洋楽のダンスカバー、オープニングのSeihoさんの「I Feel Rave」を使ったソロダンスも絶対楽しいなと思いながら当日を迎えたんです。メンバーのテンションもすごくいいものだったし、誰も予想できないような、その場限りの夜にできたのがすごくよかったなって思います。
──ポーター・ロビンソン「Something Comforting」のダンスカバーはびっくりしました。自分たち以外の楽曲を、しかもダンスのみで表現するというのは新鮮でした。
MiKiNA : 新しいことができる嬉しさもあったし、私たち自身、純粋に楽しんでいましたね。

──「Buttocks beat! beat!」や「SO i YA」「EMPiRE is COMiNG」などを織り交ぜたメドレーはいかがでしたか? 次々と曲が移り変わっていって、これも他にはない試みでした。
MiKiNA : 覚えるのが大変でした(笑)。BPMが同じ曲が3曲連続で繋がっていたりしたので、頭に入れてないと違う曲のダンスをしちゃいそうで。あとメドレーをエージェントは楽しんでくれると思いつつ、逆にびっくりしすぎて置いていかれちゃうんじゃないかという心配もあって。私たちも思っている以上にテンションを上げてアドリブを効かせたりして自由にやっていいんだってことは、メドレーで学んだことですね。
──CYBER JAPANさんも登場して、ステージが華やかでしたね。
MiKiNA : すごく綺麗で、目が釘付けでした(笑)。本当にいつもと違うし、特別感がグッと強まって、テンションが上がりましたね。
──〈EGP〉に関しては本当に強い達成感があったんですね。
MiKiNA : いろいろなところで言っているんですけど、私、楽しすぎて帰り道でニコニコ笑いながら自転車を漕いで帰ったんです。久しぶりにオールスタンディングでのライヴだったんですよ。ステージ側から見て客席にイスがなかったから、(コロナ禍前のライヴが)蘇ってきて。序盤に「WE ARE THE WORLD」をやったんですけど、エージェントが飛んでいるのを見て、すごくうれしくなっちゃって。感動しました。宝物みたいなライヴだった。希望を捨てちゃいけないなと思いました。