──そんな次の「EHM」はノイズが響いていますね。歌っている側としては、ヴォーカルと同じくらいの大きさでノイズが鳴っているというのは、どういう感覚なんですか? うるさく思ったりしないんですか?
出雲:思わないですね。歌い方は声をひっくり返す感じでやってみました。曲調が代代代っぽくないノリノリな感じだったので、レコーディングもノリノリな面持ちで挑みました。
丹南:私はいつもしっかり「ガッ!」って力強く歌うタイプなので、今回はそれをちょっと抑えて歌ってみました。
ヒメカノン:最初聴いた時は、代代代にしては明るくてメジャーっぽいな、って思いました。リズムに乗って歌うことを意識しました。
梨央:ロカビリーっぽい感じ? 分からないけど。代代代の音ってガシャガシャ系が多いので、普段に比べたら音が少なく聴こえます。私の声ってけっこうカスカスな感じなので、「EHM」でその自分の声を一番活かせたんですよ。音の高さ的にも歌いやすかったです。
宮衣:私はディスコっぽい感じに聴こえました。代代代の曲って聴く人によって違いますよね。この曲はどういう感じで歌えばいいか分からなくて、ヴォイトレの先生に相談をしたら、最初は「貞子っぽく、きっと来る〜♪ みたいに」って言われて(笑)。やってみたら「違う」と言われて、最終的に「JKっぽく」ってなりました。
──すごい変化ですね(笑)。4曲目の「ピラニア」からの3曲は、資料に「PUSH!!」と書かれているのですが、「ピラニア」はハードコアなミニマルだし、何をもってプッシュしているのかわからないぐらいなんです。
出雲:「ピラニア」って元からあった曲なんですけど、新ヴァージョンはゆっくりになって、曲の始まりが前よりも低音が響いてブリブリするようになった(笑)。この曲はリズムが難しいので、ちゃんと歌えるようにがんばりました。
ヒメカノン:今までのヴァージョンは、でかくて規模があるピラニアをイメージしていたんですけど、新バージョンはちょっと音程が高くなっているので、ちっちゃくてピヨピヨ回るピラニアをイメージして歌いました。
梨央:ライヴでやる回数も増えてきているので、前よりは安定してレコーディングできたかな。でも、遅くなっているのでめちゃくちゃリズムが取りにくいし、本当に難しくて苦労しました。あと、代代代ってライヴのオケ音源がけっこう変わったりして、それにはあまり気づかないんですけど、「ピラニア」はさすがに気づくくらいにはかなり変わっています。
宮衣:私のパートで「ゲシュタルト崩壊」という部分があるんですけど、前は速かったのでごまかせていたんですよ。私、滑舌が悪いので、遅くなることでゲシュタルト崩壊が言えなくて(笑)。いつもだったら2、3回で終わるレコーディングが、めっちゃ苦戦して10回くらいやりました。
──今までごまかしていたって言ってもいいんですか?(笑)
宮衣:たぶん大丈夫です(笑)。
丹南:私もリズムを取るのが難しくて。ライヴでもいまだに前の早さで歌っちゃったりしちゃいます……。レコーディングの時は早さはあまり気にせず歌えたんですけど、指摘はされなかったので、たぶん大丈夫なのかな……。
──小倉さんから歌い方を指導されることってあるんですか?
梨央:基本ないですね。渡された曲は自分で解釈する。
──リリック・ヴィデオも公開された5曲目の「死神」は、イントロから珍しく歌モノっぽい雰囲気で安心しました。
丹南:レッスンでみんなで聴いた時に「王道っぽいよね」って話になって。難しさは私はそんなになかったです。
宮衣:最初聴いた時、「アニメの主題歌っぽいな」って思って。私、転生系のアニメがめっちゃ好きで、それに当てはまりそうでめっちゃ嬉しかった。
──アニメに使われてみたいですか?
宮衣:使って欲しいです。お願いします。
──分かりました、と言うしかない流れですね……。
宮衣:やった〜!(笑)
梨央:代代代にない感じだったので、「これやってみたかってーん!」ってなりました。人に伝わるような曲だと思います。
──なんで今のタイミングでこういう曲が来たと思いますか?
梨央:自意識過剰かもしれないですけど、歌がちょっと安定してきたのかな? それで小倉さんも「入れてみようかな」と思ってくれたのかも。
宮衣:今までは機械音とかで加工されていたけど、この曲はみんなの生っぽい声が聴きやすい。あと、今までの曲って、オタクの人とかにも私といず(出雲なる)の声の違いが分からんってよく言われていたけど、今回のアルバムは全然違うのが分かると思う。
出雲:でも、うちのお母さんに聴かせたら間違えていました(笑)。
宮衣:いずのお母さんには伝わらなかったか(笑)。
出雲:「これ、ずもやろ!」って。違うところで(笑)。
──「死神」をもらって最初に聴いた時はどうでしたか?
出雲:私も最初聴いた時「代代代っぽくないな」と思って。すぐなぜか梨央さんに「めちゃよくない〜!?」ってLINEしました。初めて代代代を知ってくれた人も聴きやすいと思います。レコーディングでも他の曲よりは歌いやすかったです。
ヒメカノン:「代代代に入りやすい曲だな」と思いました。歌い方は、「時を止める」みたいな歌詞があるんですけど、「そこでちょっと時を止めて」と言われました。
──それはうまく止められましたか?
ヒメカノン:……そうですね(笑)。
──6曲目の「融解」はスケールが大きいですが、どう歌って踊るか、不安はないですか?
宮衣:最強にリズムが難しい。
梨央:難しい。いまだにしっくり来ていない……。最初は小倉さんの声やメロディーが入っている音源で練習をしていて、ヴォイトレで初めてメロディーがないオケで歌ってみたら、どこから自分の歌が始まるのか全く分からなくて。こないだライヴハウスを借りて練習したんですけど、振りがついたら、だいたいここら辺というのが分かったので、まだいけるかな……。
──いけそうですか?
梨央:まだあまり自信を持って言えないですけど……(笑)。でも、練習をして、良いものを見せたいです!
ヒメカノン:すごい難しくて苦戦しました。たくさん練習しました……。
出雲:大変でした。早く歌うところが難しいので、滑舌をがんばりたいです。ライヴだと一発だから……。
──みなさん微妙に不安が残っていますね。
梨央:誰かがずれたら全部ずれちゃうんですよ。ほんまに難しい。
丹南:リズムが取れなくて。レコーディングでも歌の入りが全然分からなくて、全く歌えなかったです。「ライヴどうしよう〜!」となりました。でも、振りがついたので、前よりは……。
──振りがつかないと歌うところが分からない。すごいパターンですね。
丹南:あはは……。
──最後の「清潔」の歌詞は3行しかありません。最後はノイズと呼吸音で終わりますね。
宮衣:小倉さんの呼吸音なのかな? 私は泣いているように聞こえました。小倉さんの精神状態がめっちゃ心配になりました。
梨央:全体的に暗い感じなので、「大丈夫かな」って私も思いましたね……。最初に流し聴きしてみたら、気づいたら全部終わっていて。歌詞がどこにあったのか分からなかった。
ヒメカノン:題名にもあるように、このご時世っていろいろ清潔にしないといけないから、しんどい気分なんだろうな、と感じました。
出雲:すすり泣きで終わる感じだけど、その前にちょっと笑っているような音も入っていて。情緒にちょっと波があって心配になりました(笑)。
丹南:「ああ、絶対小倉さん病んでしまっている」って(笑)。