鳴り響いたリベンジの賛歌──Devil ANTHEM.ライヴ・レポート

「どこよりも楽しく沸けるライヴを追求するアイドルグループ」を掲げて活動中の5人組アイドル・グループDevil ANTHEM.(デビルアンセム)。今回OTOTOYでは、Veats Shibuyaで開催されたワンマン・ライヴ〈“Revenge” ONEMAN LIVE"待たせたな!Veats!!”〉をレポートでお届け。全員が大きく成長し、新たなアンセムとなる曲を手に入れた彼女たちの、気合いに満ち溢れたライヴの模様をお伝えします。
昨年9月にリリースしたシングルもハイレゾ配信中!
LIVE REPORT : Devil ANTHEM. “Revenge” ONEMAN LIVE"待たせたな!Veats!!"

文 : サトシ
2020年2月23日。「どこよりも楽しく沸けるライヴを追求するアイドル・グループ」を掲げているデビアンことDevil ANTHEM.(デビルアンセム)が、ワンマン・ライヴ〈“Revenge” ONEMAN LIVE"待たせたな!Veats!!"〉をVeats Shibuyaで開催した。ライヴ・タイトルの「Revenge」や「待たせたな」というのは、去年10月12日に開催を予定していたワンマン・ライヴが台風第19号の影響で中止になり、そのリベンジを果たす意味で名付けている。

会場付近へ到着すると、10代後半か20代前半くらいの男女が入り口へどんどん吸い込まれていくのが見えた。中へ入ると、40代~50代の男性もちらほらいるものの、明らかに若者の観客が多い。僕が2018年にデビアンのライヴをTSUTAYA O-crestで観たときは、会場に集まったお客さんのほとんどが中年男性だったので、まずは客層の変化に驚いた。場内にデビアンの担当者がいたので声をかけてみた。「観客の年齢層が変わった気がするんですけど、どうしてなんですか?」と尋ねると、「メンバーの橋本侑芽、安藤楓、水野瞳が高校生に上がり、平日の対バン・ライヴを行えるようになったことがいちばんの要因ではないか」とのこと。そして、もともと自由なフロアというテーマでライブを行っていたためリフトやモッシュなどができる現場として認知されていったことがファン層の拡大に繋がっていっているという。「お客さんのノリってそんなに激しいんですか?」と聞くと、担当者はフロアの中央にいる若者たちを指さして「あのエリアにいる人たちは、みんなライヴがはじまったらかなり激しく踊りますよ」と言いながらニヤリと不敵な笑みを浮かべた。


開演時間を迎えると、場内全体が暗くなり、スピーカーから竹越くるみの声が聴こえてきた。「2019年10月12日。私たちデビルアンセムは、ここVeats Shibuyaでワンマン・ライヴを行う予定でした。当日、台風の接近に伴いライヴを延期しなければならなくなり、私たちは複雑な想いを抱きました。そして迎えた今日。Veats Shibuyaでワンマン・ライヴをする機会を与えてもらいました。そのときに私たちが抱いた『悔しい気持ち』『ファンのみんなのことを考えたら、とてもやりきれない気持ち』。その気持ちを胸に刻んでこのステージに立ちたいと思います」。フロアから大きな歓声が上がると、ステージにメンバー5人が姿を現した。まずは竹本あいりのセンター・ポジションからはじまる“Fake Factor”で幕を開けた。デビアンにとってはじめてシャッフル・ダンスを取り入れた楽曲であり、2018年に新宿BLAZEで披露していたときと比べると大きな成長を感じられる。フロアに目をやると、開演前に担当者の方が教えてくれたように、観客は一斉にジャンプをしたり、大きな波のように左右へ揺れたり、モッシュしたりして盛り上がっている。その後も“あなたにANTHEM”、“覚醒WOW WOW”、“えっとねれみしー”、“Only Your Angel”と序盤から休憩を挟まずアグレッシブな楽曲を重ねる。MCになり各メンバーが自己紹介をしたあと、あらためて竹越くるみがマイクを握った。「今日は10月に私たちがやりたかったこと、伝えたかったこと…… そして10月から今日に至るまで私たちの成長したところを含めて、最高の瞬間をみなさんと作りたいと思います」。そして6曲目に歌ったのは“Dark“s” side”。これは彼女たちの最新シングル「Days」の収録曲で、カップリングとはいえ、去年のライヴで初披露した時からファンの間で評判が高かったこともあり、毎ステージで欠かせない人気ナンバーとなっている。

中盤戦に突入して“Like a 熱帯夜”、“STARLIGHT CIRCUS”、“ココロカラ”、“Devil ANTHEM.~君のハートを征服中~”を歌う中、とくに印象的だったのが“恋する乙女のクライシス。”。「乙女の時間は短い / だからもう死ぬほどに愛して」という歌詞は、学生の彼女たちだからこそ歌える“いま”の言葉に感じた。デビアンの平均年齢は16.6歳。上は高校3年生、下は高校1年生で構成されている。2018年にインタヴューをしたとき、「みなさんは現役の中高生でありながら、アイドル活動をされているわけじゃないですか。言ってしまえば、恋愛もできない、バイトもできない、部活にも入れない。自分の青春をかけてまでやるアイドルの魅力ってなんですか?」と尋ねたことがある。安藤楓は「デビアンの活動をはじめてから、抱えていたコンプレックスが、私の自慢する場所になって。自分に自信を持てるようになりました」。竹本あいりは「周りの子はスタイル良いし、足も長い。身長が低くて良いことなんかひとつもなかったんですけど、アイドルになって『そこが好きだよ』と私に興味を持ってくださった方がいたんです」。水野瞳は「…… いま喋っている声は地声なんですけど、友達にイジられたりして、この声がずっとコンプレックスでした。だけど、アイドルをはじめてから『声と見た目のギャップが良いね』と言ってくれる方がいて。(安藤)楓ちゃん、(竹本)あいりちゃんが言ったように、コンプレックスが自分の自慢できる一部になったんです」と話してくれた。学生のアイドルはみな、同級生が当たり前に送っている青春時代を身代わりにステージに立っている。そのリスクは大きい。しかし、彼女たちはアイドルになったことで“自分を肯定される喜び”を全身全霊で感じながら歌っていた。


11曲を歌い終えたところで再びMCへ。竹本あいりが「ここからはノンストップでやりたいと思います!」と言ってフロアを活気付けた。そこからは宣言通り、新曲の“minnadeiko”、“Clover”をはじめ「夏のアイドル・ソング=爽快さ」のカウンターとなっている“Days”。5行だけのミニマムな歌詞を。表情とダンスで魅了した“Replay”。サビでドミノのように端から順に同じポーズをしていく“以心伝心”。向かい風にも負けない強い自分を歌った“MY WAY”。毎ライヴで問答無用にフロアを沸かすアッパー・チューンの“EMOTIONAL”。橋本侑芽が初めて歌い出しのパートを任された記念すべき楽曲である“LINK”。モッシュやリフトが次々と巻き起こった“Fever”と立て続けに9曲を歌い、本編のラストはこちらも新曲の“夢のつづき”。アウトロで水野瞳がマイクを握りながらステージ中央へ。「今日はワンマン・ライヴができて本当に良かったです。これからも私たちと君たちで進んでいきましょう」。そう言って5人は袖へと消えていった。

アンコールが起きると、ステージ上に設置されたスクリーンに「緊急発表」の文字が映し出され、3月18日にミニ・アルバム『Hang Out With Sound』のリリース、さらに無料のリリース・イベントを3月18日からライヴハウスで行うことが発表された。突然の吉報に会場が沸いているなか、再びメンバーが登場。“絆という羽”でアンコールをスタートした。続く“OMONPAKARU”では、フロアの四方八方から桜吹雪を撒く演出が起きる。アンコール最後の“①②③④⑤”は、床に落ちた桜吹雪をかき集めて何度も撒いている人がいれば、モッシュをしたり、サークルを作っている人がいたり、なんでもありな状況に。こうして2時間、計24曲を完走してワンマン&リベンジライヴを終えた。

──終演後、フロアを見ると観客がホウキやチリトリを使って、先ほど使用した桜吹雪を大きなビニール袋にまとめている。担当者に話を聞いたら「もともとは2年前のライヴでスタッフが桜吹雪の演出を半ばノリでやったんです。そしたらファンの方達が自ら桜吹雪を用意するようになりました。で、ご覧の通り終演後はみなさんで自主的に片付けをされて」。その様子を見ながら、わざわざ紙吹雪を用意して、電車に乗って、ライヴを盛り上げるために撒いて、片付けて、持ち帰って。ライヴが延期になろうが、それでも応援に駆けつけるファンの尊さを感じた。

セットリスト
01. Fake Factor
02. あなたにANTHEM
03. 覚醒WOW WOW
04. えっとねれみしー
05. Only Your Angel
〈MC〉
06. Dark“s” side
07. Like a 熱帯夜
08. 恋する乙女のクライシス。
09. STARLIGHT CIRCUS
10. ココロカラ
11. Devil ANTHEM.〜君のハートを征服中〜
〈MC〉
12. minnadeiko
13. Days
14. Replay
15. Clover
16. 以心伝心
17. MY WAY
18. EMOTIONAL
19. LINK
20. Fever
21. 夢のつづき
【アンコール】
01. 絆という羽
02. OMONPAKARU
03. ①②③④⑤
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【過去の特集ページ】
PROFILE
Devil ANTHEM. (デビルアンセム)

「沸ける正統派アイドル」をコンセプトに、楽しく沸けるLIVEを追求していくアイドル・グループ。
ステージから放出されるエネルギーとそれを包み込むフロアの熱量はひときわ輝きを放ち独自の世界観を構築している。
平均年齢16.4歳の5人組。通称デビアン。
キャッチコピーは「Make Some Noise」。
【公式HPはこちら】
http://devilanthem.com/
【公式ツイッターはこちら】
https://twitter.com/devilanthem