2019/12/27 19:00

熱烈的時代到来! 探索中国ラップ!

バラエティに富んだ近年の中国ラップ

東アジアのラップがアツい昨今。〈88rising〉所属のHigher Brothersの楽曲がスマッシュ・ヒットしたことをきっかけに中国のシーンに興味を持っている方も多いのではないのでしょうか。さらに中国国内では〈中国有嘻哈(ジョングオヨウシーハ)〉というラップの番組が2017年頃から話題になり、国内では空前のラップ・ブームが巻き起こっています。(現在は〈中国新说唱(ジョングオシンシュオチャン)〉という番組名で配信中)そんなアツい波、フィールしないするしかない!!

そんな中、中国のラップ・シーンに興味を持つ皆さんを悩ませていることの1つに“いまいちディグりづらい問題”があると思います。

というのも中国はインターネット関連のサービスが非常にドメスティックでして、特段国外志向でない限りラッパーの曲が中国国外では聞けないという事態が多々発生します。しかし、国際志向のものだけでなく国内向けの、日本からは見えづらいシーンを覗きたいというのがリスナー心理ではないでしょうか。事実、そこには自分の第1言語で自由にスピットするラッパー達のクールな姿があるわけですし。

そこで、今回は私がみなさんの“中国的ラップシーン・ディグ”のお手伝いをさせていただきます! 私は中国語話者ではありませんが、幸いにも周りにラップが好きな中国人の友人達がいます。彼ら彼女らから教わったことなどを踏まえつつ、みなさんがよりドープな中国ラップ・シーンを簡単に味わえるようなハックをいくつか紹介させてください!

まずはYouTubeの良チャンネルをチェック

ここ最近、その間違いなさに磨きがかかっているYouTube。やはり、音楽をチェックする上でこのプラットフォームに勝る場所はありません。こと中国のラップ・シーンにおいても、YouTubeは国外のリスナーに向けたプラットフォームとして機能していると言えるでしょう(中国国内では基本的にYouTubeの閲覧ができないため)。そんなYouTubeのチャンネル群の中でも特におすすめしたいのがZHONG.TV!!

様々なプレイリストが充実

上海に拠点を置くこちらのチャンネルは、中国国内のラップやR&B等のジャンルに関するコンテンツを豊富に取り扱っています。コンテンツの充実度もさることながら、特筆すべきはそのプレイリストの豊富さ。それぞれの地方をレップするラッパーが群雄割拠する中国シーン。これら様々なラッパーを、地域やレーベルごとにまとめあげたプレイリストがいくつもあるこのチャンネルをチェックすることをお勧めします。シーンを俯瞰できるとよりアツいですので!

中国国内向けのストリーミング・サービスにアクセスしたい!

さて、上記のチャンネルや関連動画等で中国のラッパーを好きになった後に“国内で利用可能な配信サーヴィスで聴ける曲が少ない”という現象に直面する方も多いはず! 中国国外のリスナーが置かれている現状を大まかに説明すると、

①中国のラッパーは基本的には国内のストーリミング・サービス上で曲を配信する
もちろん国内で利用可能なサーヴィスで聞くことができる曲も多数ありますが、特定のアーティストの曲をしっかりチェックしたいとなると聴けないアルバムやミックステープなどが数多く出てきます。

②国内サーヴィスに向けた曲をリリースする際に、その告知も〈微博(ウェイボー)〉などの国内SNS上で行われることが多い
instagram等のアプリでは中国国外でも聴ける作品の告知のみ、というパターンが多い。

③そもそも様々な事情により日本からアクセスできる中国の配信サービスが極端に少ない
中国のストリーミング・アプリは基本的には日本のApp Storeにはありません。

という上記3点によりいまいち聴き込めないという状況になります。

そこで、この記事の本題でもある中国のストリーミング・サービスを日本国内で聴くハックについて書こうと思います。

結論から言うと、〈虾米音乐(シャミインユエ)〉を使うことをお勧めします。

この〈虾米音乐〉をお勧めするポイントとしては

・VPN等を介さずに数多くの楽曲にアクセスできる
・UIもシンプルなので漢字を読んで勘で操作できる

というような点にあります。

※他の中国系の音楽視聴アプリも日本のapp storeにもありますが、明らかに粗悪品かつ版権的にも怪しいのでお勧めしません。
※欲を言えば中国最大手のストリーミング・サービス〈网易云音乐〉を紹介したいのですが、VPNを介さないと聴けないので簡単にはお勧めできないというのが本音です…。

まずはこちらのサイトにアクセスしてください

このような画面が出てくるので

次に、検索窓に任意のラッパーの名前を入力します。すると検索結果一覧が表示されるので、黒字になっている曲名(=会員登録していなくても聴ける曲)の横の再生マークをクリックしてください。これで聴けます!!

ここから先がミソなのですが、曲名をクリックすることでこの曲に紐づけされたハッシュタグや歌詞、関連曲やこの曲を収録しているプレイリスト等を見ることができます。まさにこれこそがディグが捗るポイントなのです。

また虾米上では数多いるユーザーが作った様々なプレイリストも魅力の1つです。こちらのプレイリストには中国のラップ系の曲がセレクトされており、随時更新されていくのでお勧めです。

https://www.xiami.com/

さらに、電話番号と認証コードを入力すると会員登録もできます!

※検索の際に「嘻哈(ヒップ・ホップ)」、「说唱(ラップ)」といった中国語を覚えておくと便利です。都市名などと組み合わせて検索結果を絞り込むことができます。

※「专辑(ヂゥァンヂィー)」(意味:アルバム)、「艺人(イーレン)」(意味:アーティスト)、「歌单(グゥーァダン)」(意味:プレイリスト)といった単語も思えておくと便利です。

おすすめメディア、プラットフォーム

どのシーンを知る上でも、メディアをチェックすることは欠かせません。私も多くの(中国のラップ・シーンに関する)メディアを知っている訳ではありませんが、ここでは私が定期的にチェックしているウェブ・サイトを紹介させていただきます。

それがこちら〈嘻哈中国(シーハジョングオ)〉。こちらは様々なライターや他メディアの記事が集約されているプラットフォームです。海外アーティストの来中公演や人気ラップ番組〈中国新说唱〉の最新情報、国内外のラップに関するニュース、ラッパーの特集記事などが主なトピック。シーンを観測するにはうってつけでしょう。中国国内で注目度の高いUSのラッパーは誰か? など国外ニュースの取り扱い方も注目ポイント。中国語があまりわからなくても、記事に出てきた気になるラッパーの音源などを先ほど紹介した〈虾米音乐〉などでチェックすることでフレッシュな情報を得ることができます。

さらに、〈微博〉のアカウントを持っている方は気になるラッパーをフォローすることをお勧めします。またこれから〈微博〉を使ってみようという方はぜひ「Weibo intl.」という国際版アプリを使ってみてください。日本語への翻訳機能もついています。

また、WeChatのアカウントを持っている(若しくはこれから登録しよう)という方におすすめなのが、〈THE PLUG〉というWeChat内で展開されているキュレーションメディア。こちらでも中国のラッパーの特集記事やシーンの最新ニュース等を読むことができます。

写真中のURLをWeChatアプリでスキャンすると追加できます

おすすめアーティスト

記事を〆る前に、是非チェックしていただきたいラッパーを紹介します!! 

・3Bangz(サンバンズ)

コミカル、チャラい、金持ちの3拍子揃った最高のスタイルで、軽快にラップする様が楽曲でも伺えます。彼のスタイルについては賛否両論あるらしいのですがそれもまた面白いポイントですね。彼が何を言っているかわからなくても、この曲のタイトルを見るだけでどんなラッパーなのかが窺い知れるのではないでしょうか。

3Bangz - 婚前性行为是犯罪 (Single)
3Bangz - 婚前性行为是犯罪 (Single)

・A.T.M顶级玩家(エーティーエム ディンジーワンジァ)

AnsrJ/Lil Shin/Mengziから成る成都の3人組。「A1のトップのマスターでハイクラスのプレイヤー」的な、最高のボースティングをかましているグループ名が最高ですね。パワフルな発声と確かなスキルが聴きどころ。シンプルなトラップのビートにしっかりハメている、正統派のかっこよさです。

顶级玩家ATM-没有空!
顶级玩家ATM-没有空!

かなりざっくりとした説明となりましたが、以上となります。地理的にも文化的にも近い中国。切っても切れない関係にある両国間で、さらにラップというカルチャーが繋がり始めています。特に今年はMIYACHIとBohan、PETZとMASIWEI、KOHHと黄明昊のコラボなどが実現し、日中のシーンが今後とも文字通り面白くなることが期待できる1年でしたね! 知っているようで知らないお隣の大国、この記事を読んで気になった方はぜひ取っつきやすいところからチェックしてみてください!!私自身もまだまだ知らない部分が多いので、さらに良いハックやメディア等を見つけましたら追記していこうと思います!!

再见大家!

※各種サービスはアカウント作成やVPN使用でさらに聴ける曲が増え、使いやすくなります。しかし安全面等の問題に関しまして保証し兼ねますので、今回は手軽に楽しめる範囲でのハックを紹介させていただきました。

この記事の筆者
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