BELLRING少女ハート 祝・3周年 INTERVIEW : 田中紘治
頭の中にライバルとしてのベルハーがいるんですよ
ーーBELLRING少女ハート3周年、おめでとうございます。
田中紘治(以下、田中) : あざす。
ーーこういう質問もあれなんですが、結成当初、田中さんが想像していたベルハー像と現在のベルハーでは、どちらのほうがおもしろいと思っていますか?
田中 : やっぱり想像してたベルハーのほうが面白いので、今それを必死に追っかけてます。どうしたって、頭の中では理想がピカピカしてるんで。頭の中にライバルとしてのベルハーがいるんですよ。6人体制だったベルハーこそ最強だと思ってる人もいるだろうし、いろんな人間の頭の中に俺たちのライバルがいる感じ。どいつもこいつも殺してやるって感じです。がんばる。
ーー3周年なので、現メンバーについてコメントをいただけますか? まずは、朝倉みずほ。
田中 : みずほは、4月8日で3年目になります。本人が3周年を意識してるかわからないけど、よく頑張って続けてくれたと感謝してて。与えられた役割をいつまでも忘れずに極めるまで続ける子で、だからステージを観ててグッとくるもんがあります。単なる技術じゃなくて、すごいひたむきで。ストイック過ぎるくらい。離脱した珠梨が親友だったから、今すごく気持ちが揺れてるかもしれないですね。それと白か黒か、本当か嘘か、っていう極端な子だから、周囲も彼女に戸惑うけど本人も苦しんでると思う。「やっぱりベルハー楽しい!」って思える3年目にしたいです。もう少し柔らかく大人になれたらいいんじゃないかな、と。みずほの声は楽曲製作にすごく影響してるし、一生懸命なダンスを頼りにしてたんで。ずっと一緒にベルハーを作ってきたと思ってますけども、俺は。
ーーでは、宇佐美萌。
田中 : もえちも俺の中では限りなく一期メンに近い。本人は途中参加でいろいろ大変だったんだろうけど。まともにレッスンを受けてる新メンバーを羨ましく思ってるかもしれない。台湾遠征でTIRAの代わりにパートを外されたとき、すげぇ悲痛な声で「ひどい!」って叫んだのを覚えてます。なんかずっと耳に残ってる。アイドルとして大きな目標があるわけでもないのに、いかにお客さんの前に立っていられるか、楽しませられるか、チェキでも思い出を作ろうとか、そういう一生懸命アイドルやってる奴。いい加減なところがたくさんあるので、ずいぶんボロクソ言ってきたけど、でもけっきょくもえちって面白い。悔しいけど頭おかしい。
ーーそれじゃあ、柳沢あやの。
田中 : あやのとカイはちょうど1年半を過ぎたとこですかね。あやのが加入した時は「ベルハーっぽくない」って反応が多かったです。普通にアイドルっぽい子を入れちゃっていいのか、みたいな。最初の半年は「自分らしさ」とか「ベルハーに馴染めない」とか、とにかく苦しんでましたよ。まだ辞めるなよ! って内心ヒヤヒヤ見てました。あやのなりに物凄く葛藤して、今の曝け出すようなパフォーマンスを作り上げてった感じです。でも、もともとのアイドルらしさも残してて面白い。自分の表現と、着いてきてくれるファンにはプライドを持ってるんですよね。あまり上手に喋るタイプじゃないので、ライヴを観てもらえたらいいなぁと思ってます。弱点だった声の不安定さも、今ではしっかり味になってる。
ーーそして、カイ。
田中 : カイは完全にアンタッチャブルですよ。適当なのに何も間違ってない。手出し無用なところがある。楽屋で、もえち、ゆうか、カイでギャーギャーつるんでた頃は緊張感が欠けてつまんなかったんですけど、離脱が決まった頃からかつてのクールさが戻ってきて、更に新体制になってからの確変ぶりがすごいんですよね。かなり踊れるようになったのに、実に好き勝手やってて。家族が旅行で1人お留守番だから全裸で家中走り回ってる阿呆みたいな。それでいて品があるみたいな。
ーー(笑)。初期メンバーであった仲野珠梨、美月柚香についても、コメントをいただけますでしょうか。
田中 : 3年間ありがとう。珠梨はよくぞ燃え尽きたなって思います。珠梨の限界をちゃんと見せてくれて素晴らしかった。よく笑い、よく反抗し、よく落ち込み、よく立ち直り、青春を全うしたのかなぁと。彼女の思惑通りかは別にして、俺にでっかい穴の残していきました。珠梨の後に珠梨はなし、です。柚香はベルハーで何か成し遂げるつもりはなかったように思えて心残りもあるけど、彼女は次に立つステージこそ勝負の場だと考えてるはず。もっと尊敬できる大人と出会えるよう祈ってます。でも彼女の絶対に譲らない美学があったから、ベルハーは成り立っていました。
メンバーはめちゃめちゃ頑張ってるし、大人がもっと楽しい環境を作っていかないと
ーーでは、新メンバー(甘楽、藤城アンナ、仮ちゃん)の話をしましょう、3人の採用にあたり、どのような点を重視して選ばれましたか?
田中 : 共通してるポイントは“声”です。どんなにギャーギャー騒いでも耳を不快にしない、品のある声質は外さないようにしてます。テレビ番組を編集してた頃、出演者達のひっくり返った奇声にイライラしながら調整してました。BGMで無理矢理和ませたり。声がひとに与える影響は見た目より遥かに重視するべきだと考えています。
ーーそれぞれ加入の決め手となったポイントがあったら教えてください。
田中 : それぞれの決め手ですが… 甘楽は(みずほ、カイ以来に)書類審査の段階で採用は決めてました。面接で決まるメンバーと優劣があるわけじゃないんですが、才能が保証されてる人相ってあるんですよ。面接では行儀よく愛想もよかったです。審査の歌唱とダンスもすごく可愛かった。1時間くらい喋ったんだけど何か引き出し足りないなと思って、採用は決めてるのに、もう一回面接に来てもらったんですよ。次は友達と一緒に面接を受けに来て、そのやり取りからクソガキな面も垣間見れて「これは面倒くさいことになるな」と、とても楽しみになりました。
ーーあははは。
田中 : 仮ちゃんは大ファンのバンドじゃないもん! さんと妄想キャリブレーションさんのメンバーさんが新メン募集をRTしてくださったのと、たまたま妄キャリさんのライヴで鹿児島から上京する時期と面接日が近かったから受けてみたそうです。ラッキーでしたね。可愛い顔してるのに馬鹿たれで。愛すべき馬鹿たれ。とにかくステージに飢えてる感じがたまらなかったです。本人には「ベルハーのライヴに馴染むのは夏になる。それまでどんなに悩んでも辞めるな」って言ってたのに、最初のライヴで予想してた数ヶ月先の笑顔を見せてました。
ーーそして、藤城アンナ。
田中 : アンナはお客さんとスタッフが捕われがちな“ベルハー像”とは真逆な子ですね。背が高くて、髪の色が明るくて、モデル系な美人で、最近のバンドに超詳しいっていう。イメージがどうのこうので多少の反発はあるんじゃないですかね。加えて既存の細かなダンスの振りも大変だろうし、本人は辛いかもしれないなぁと。いずれ、そういうゴチャゴチャを跳ね返しそうな存在感があったので採用しました。ガキンチョ共がわちゃわちゃ走り回ってる中、聖母みたいなメンバーが1人いたら面白いなと思っていて、アンナはそこにバチッとハマったなぁと思ってます。
ーーそして、新メンバーが入った7人のベルハーを田中さんはどう見ていますか?
田中 : そろそろ売れるんじゃないですかね?
ーー結成から3年経ち、曲のバラエティもかなり増えました。なかでも「REVERLY!!!」は、とんでもない曲ですよね。こんな曲、アイドルならずとも、あまり聴いたことがない。どのようにして、この楽曲は生まれたのでしょう?
田中 : エミール・クストリッツァ監督の『アンダーグラウンド』とか『黒猫・白猫』が大好きで、あの映画に使われてるような悲哀と歓喜にグッとくるジプシー・ブラス・バンド曲がどうしても欲しかったんですよ。くものすカルテットさんというバンドが俺の知る限り一番イメージが近かったので、メンバーの坪川拓史さんに楽曲制作を依頼しました。何度かライヴを観たことがあったので信頼はしていて、けっこうスムーズに方向性は一致しました。もっと泥臭い楽曲にするつもりだったんですが、思ったよりスタイリッシュなデモが届いて、おかげでアルバムにも馴染みやすかったと思います。この曲で初めて他人のメロディに作詞しました。最初うっかり政治思想的な歌詞になっていたのを寓話的にしていった感じです。初披露の頃は他の曲と比べてお客さんの反応はイマイチだったようですが、徐々に人気曲になってきました。ちゃんと伝わって嬉しいです。振り付けも魅力的です。
ーー今後、ベルハーにはどのような楽曲が必要だと考えていますか。
田中 : アニメの主題歌。
ーー神聖かまってちゃんや、川本真琴さんとの2マンなど、アイドル以外とのライヴも増えています。今後ベルハーはどのようになっていきたいと思っていますか。
田中 : まず運営としてステップアップしたいです。熱いブッキング、広がるタイアップを掴んでいきたい。メンバーはめちゃめちゃ頑張ってるし、大人がもっと楽しい環境を作っていかないと。と言っても闇雲にコマーシャルばかりしても、いざ集客してライヴがクソでは意味がないから、どんなパフォーマンスをさせていくかは変わらず大事にしたいです。ライヴとコマーシャル、俺は後者の人間だと思ってたんですが、どうもベルハーを始めてみたら前者だったようです。純粋にライヴ感を楽しめるのはLIQUIDROOMが限界だってずっと言ってきたんですけど、それ以上のキャパになった時の課題は考えてます。年に何回かはすごいお祭りをやっていきたいです。
ーー最後に。コーチェラの出演は実現しそうですか?
田中 : 巳年なんで執念深いんす。
取材&文 : 西澤裕郎
リキッドルームでのワンマン・ライヴをOTOTOY独占ハイレゾ配信
BELLRING少女ハート / LIVE at 黒い羽集金ツアー・東京公演(24bit/48kHz)
【配信形態】 FLAC、ALAC、WAV(24bit/48kHz)
【配信価格】 単曲 150円 / まとめ価格 2,000円
【Track List】
1. タンジェリン細胞
2. 夏のアッチェレランド
3. World World World
4. c.a.n.d.y.
5. ヒバリの空
6. クロノスの鎌
7. yOUらり
8. Crimson Horizon
9. get rid of the Chopper
10. プラスチック21g
11. D.S.P.
12. ボクらのWednesday
13. 月の真下でオオカミさんに尋ねました。
14. REVERLY!!!
15. Tech Tech Walk
16. 男の子、女の子
17. ダーリン
18. アイスクリーム
19. サーカス&恋愛相談
20. the Edge of Goodbye
21. プリティ・シャロウ
22. Orange Slumbers
23. rainy dance
24. WIDE MIND
25. UNDO
26. kUMA GOQLI
27. Karma
28. Starlight Sorrow
29. bedhead