2002年の結成以来、ガレージ・ロックやポスト・パンク、UKヒップホップなどさまざまなジャンルを取り入れた緩急自在な独自のギター・サウンドで、世界中から圧倒的な支持を受けるアークティック・モンキーズが、ニュー・アルバムの『AM』を日本先行でリリース! 髪型をリーゼントに決めたイメージ一新なアー写からも読み取れるように、この一枚には彼らの更なる進化が詰まっている。
Arctic Monkeys / AM
【配信形態】
WAV、mp3
【価格】
mp3、WAVともに 単曲 200円 / まとめ購入 1,500円
【Track List】
1. Do I Wanna Know? / 2. R U Mine? / 3. One For The Road / 4. Arabella / 5. I Want It All / 6. No. 1 Party Anthem / 7. Mad Sounds / 8. Fireside / 9. Why'd You Only Call Me When You're High? / 10. Snap Out Of It / 11. Knee Socks / 12. I Wanna Be Yours / 13. 2013 (Bonus Track)
様々なことに挑戦しながら自分たちの音を探し続けている
レーベル(DOMINO)メイトのフランツ・フェルディナンドが先日リリースしたニュー・アルバム『Right Thoughts, Right Words』が、明るく軽やかなディスコ・ロックで踊らせるのなら、アークティック・モンキーズの最新作『AM』はメロウでグルーヴィな楽曲でゆったり踊らせるモダンなロック・アルバムだ。3作目『HUMBUG』でみせたヘヴィでダークな世界観や、4作目『SUCK IT AND SEE』のメロウでポップな流れを汲み、さらに今作ではよりグルーヴィーに進化したアークティック・モンキーズ。 その理由のひとつは格段に色味の増したコーラスワークだろう。
3曲目「One For The Road」や10曲目「Snap Out Of It」ではビーチ・ボーイズやイーグルスといった70年代のウエスト・コースト・ロックを思わせる華麗なコーラスを聴かせてくれる。さらにそこにラップ調の歌を入れ込むあたり、一筋縄ではいかない彼ら独自の音楽になっている。前作では影を潜んでいた初期の楽曲のようなリフ主体の曲も復活しており、なかでも2曲目「R U Mine?」は、ストーナー・ロックを彼らなりに消化したヘヴィなギターリフが特徴的な今作随一のキラー・チューンだ。そして今作一番注目してもらいたいのは6曲目「No.1 Party Anthem」、7曲目「Mad Sounds」のようなバラード・ナンバーや9曲目「Why'd You Only Call Me When You're High?」、11曲目「Knee Socks」といったメロウな楽曲だ。
全体を聴いて最初に感じたのは、深夜のBarで一人スコッチを飲みながら、そんなアダルトな雰囲気だった。ミドル・テンポでメロウな楽曲が多く、ゆったりと聴かせる作品なのだ。アレックス・ターナー(Vo,Gt)の声は10代の頃から大人びていたが、年を取るにつれてさらに色気、深みを増し、バラードやメロウな曲がとても合う声になっていた。なかでも「No.1 Party Anthem」は、情緒的なサウンドにアレックスの歌声と哀愁のあるメロディが絡む感動的なナンバーになっている。大人になって落ち着いてしまった、と思う人もいるかもしれないが、そうではない。アークティック・モンキーズは作品ごとにあたらしいことに挑戦し、つねに先へ先へと進んでいるのだ。今回もバラード曲、キーボードやドラムマシーンの使用やR&Bの要素を入れてみたりと、様々なことに挑戦しながら自分たちの音を探し続けている。
もしかしたら次はこれまでとまったく違う音楽かもしれないし、原点回帰するのかもしれない。どうなるかは誰にもわからないが一つ言えるのは、大きくなる周りの期待など気にすることなく、自分たちのやりたい音楽をやるという姿勢、それが良い音楽を作れる要因なのだろう。メディアやファンの期待には添えていないかもしれないが、アークティック・モンキーズの5作目『AM』は間違いなく傑作だ。(text by 吉野敬一郎)
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PROFILE
Arctic Monkeys
2002年に結成された英国シェフィールド出身のガレージ/オルタナティヴ・ロック・バンド。メンバーはアレックス・ターナー(Vo,Gt)を中心とする4人編成。デビュー前よりデモ音源がネットで話題となり、2006年1月発表の1stアルバム『ホワットエヴァー・ピープル・セイ・アイ・アム、ザッツ・ホワット・アイム・ノット』は全英初登場1位を獲得。同6月にベースのアンディに代わりニック・オマリーが加入し、翌年には2ndアルバム『フェイヴァリット・ワースト・ナイトメアー』を発表。UKロック・シーンで最大級の人気を誇るバンドとして活躍。2013年9月、5thアルバム『AM』をリリース。