2013/05/15 00:00

日本のガールズ・ロック・バンドのなかでも、サウンドと歌詞、そしてD.I.Yなスタイル、全てにおいてずば抜けた個性を発するつしまみれが、前作『』から1年3ヶ月ぶりのフル・アルバムをリリース。ゆらゆら帝国、どついたるねんなどを手がけた中村宗一郎をエンジニアに迎え、結成14年目にして自身のバンド名をタイトルに冠した今回のアルバムは、とっつきやすく、離れがたい、スルメ的看板作品にしあがっている。OTOTOYでは歌詞カードPDF付きで配信を行い、ヴォーカル&ギターのまりによる濃厚なセルフ・ライナーノーツを掲載。読みながら、聴きながら、じっくりと彼女たちの世界観に浸っていただこう。


つしまみれ / つしまみれ
【価格】
mp3 単曲 190円 / アルバム 2,100円

【Track List】
1. 愛の夢 / 2. JAGUAR / 3. さいあくま / 4. in your syrup / 5. 言いなりジンジャーエール / 6. はじまりのうた / 7. 嘘そうそう / 8. 脳内逃避行 / 9. ローズヒップハイビスカス / 10. 空回り / 11. SNS / 12. NO PUNK

※まとめ購入時には歌詞ブックレット(PDFファイル)が付いてきます!

バンドへの愛情、前へと突き進んでいく想い

2013年5月15日、日本屈指の”ひねくれ”ガールズ・ロック・バンド、つしまみれのニュー・アルバム『つしまみれ』が届いた。ブランキー・ジェット・シティのコピー・バンドから始まり、メジャー・デビュー、自主レーベルMojor Recordsの設立やアメリカ・ツアーなど精力的に活動してきた彼女たち。結成して14年、満を持してセルフタイトルとなった今作は、かつてないほどキャッチーでシンプル。3人の音が絶妙に合わさったポップな楽曲は、いままでつしまみれの音楽に触れてこなかった人にも届くだろう。

これまでの作品は、演奏技術の高さとともに、ライヴ・バンドとして培ってきたオルタナティヴで変幻自在なサウンドと勢いを、全面的に押し出してきたという印象があったが、今作ではサウンド・エンジニアに中村宗一郎を招き、1曲1曲しっかりと作り込まれ、シンプルだが、研ぎすまされているという印象だ。曲が良いのはもちろんだが、3人の音が黄金比率とも言える完璧なバランスに仕上がっており、今作における中村宗一郎の功績は大きい。

左から やよい、まり、みずえ

疾走感溢れるギター・ロックで愛を歌う「愛の夢」、ノイズ感溢れるサウンドが刺激的で、自らのギター、ジャガーを語る「JAGUAR」、最小限の音数でヴォーカル、まりの歌が心に響く「さいあくま」、つしまみれらしい遊び心満載の「嘘そうそう」や、人力テクノ「ローズヒップハイビスカス」など、多彩な楽曲が詰め込まれ、飽きることなく聴くことができる。

ユニークでひねくれた歌詞もつしまみれの特徴でもあるが、今作では全編を通して、愛情や変わらない気持ちが歌われている。ヘンテコな言葉が多いが、つしまみれらしく、ありのままを歌っているから、メッセージはしっかり響いてくる。

〈意味さえ もう いらないわ / そう 愛情で縛って 私のままで生きるだけ / やり直したいことなどないわ〉(NO PUNK)

アルバムを通して、メンバーのバンドへの愛情や、後ろを振り返らず、常に前へ前へと突き進んでいく想いが、ひしひしと伝わってくる。自主レーベルまで設立し、失敗を恐れずに自分たちのやりたいことをやる、D.I.Yな姿勢はしっかりと音に反映され、リスナーに届くだろう。これからも前へ歩み続ける3人から目が離せない。その新たなスタートにふさわしい今作、つしまみれの愛にまみれた12曲を是非聴いてもらいたい。(text by 吉野敬一郎)

まり(Vo / Gt)によるセルフ・ライナーノーツ


「愛の夢」
まり(Vo / Gt)
歌詞にこめた思いが強いよ。永遠なんて思うだけで、楽しい日々は一瞬かもしれない。でも、永遠を信じたい。最初は、キュアーの「BOYS DON'T CRY」みたいなさわやかなリフの曲にしようって思ったけど、すっかり愛に溺れきった曲になったよ。

さわやかに泣けるんだなあ。
ギター・マガジンのライターさんは「J-POPですね!?」って言ってたけど、私の心に宿るメロディはいつだってJ-POPなのかもしれないなあ。

「JAGUAR」

私のギターは、フェンダーUSA、1964年のヴィンテージ。色の名前は、レイクプラシッド・ブルー(去年、ギター好きな友だちが教えてくれた。おしゃれな名前だ)。めちゃくちゃかっこいいのです。

人間にしてみたら、40代のナイス・ミドル。絶対男だと思う。(青いから。自分の中では青系は男、赤系は女という観念がぬぐい去れない。学校教育の影響?)

で、彼のことがどれくらい大好きなのかは、この曲を聴けばわかると思う。楽曲は、家で思いついたんだけど、つしまみれがブランキー・ジェット・シティのコピー・バンドだったことに誇りを持とうと思って作ったよ。スリー・ピース最高。

「さいあくま」

これもお家で思いついた。どれだけ最悪でどん底だったんだろう? 他の人からしてみたら大したことじゃないかもしれないけど、口から勝手に出てきた言葉がそのまま歌詞になりました。だけど、素敵なキラキラしたギターが同時に鳴りはじめたんだよ。だから、どん底ってすごく綺麗なんだと思う。どういう生き方をするかは全部自分で決めていくんだって思った曲。

間奏でベース・ラインが変化していくところはいつだって泣きそうになる。聴きどころです。

「in your syrup」

やよい発案の楽曲、舌打ち、コーラスの歌詞、間奏のつぶやき、に注目してね。

やよいの気持ちは、「あたしの右目になって あたしの左脳になって 1人で歩いてたら 少し疲れてしまった」
それに対してまりの気持ちは、「甘い甘い!!! そんなに甘えちゃダメ!」
だけど、やよいの気持ちは、「あたしの手をひいて… 甘い夢を見せて…」なんて不思議なかけ合いになってるんだよ。

やよいの心の叫びを聴いて、それに対して自分が思ってることが自分の歌詞になって、楽曲ができあがっていったよ。これぞガールズ・トークのなれの果て!?

やよい(Ba / Cho)
「言いなりジンジャーエール」

彼の言いなり。稲荷神社。辛口ジンジャーエール好き。そんな感じ。
結構前に作った曲なんだけど、今回、3人でアレンジし直したらなんとも素敵な雰囲気になったよ。みずえのタンバリンが好き。「口笛はもっと上手なのに!!!」って言いながら録りなおしてもらったけど、全然うまくないよ。つしまみれが力を抜いて演奏することを知った曲かもしれない。

「はじまりのうた」

アルバムの1曲目にしようと思ってた曲。レコーディングの後半にリフを思いついて、2人に提案して、盛り上がって一気に作った曲! かっこいいんだよー! みずのドラムがシンプルにタイトにかけぬけて、やよいの爆裂ベースがうねって、キラキラ・ギターリフが連呼する。この曲、アルバムで一番クールだと思ってます。ちなみに、エンディングのやよいのリフ… どこかで聴いたことありませんか?

そう、シングル「JAGUAR」のノイズ楽曲「終わりだけがある」のフレーズです。「はじまりのうた」は、「終わりだけがある」で終わります。気付いた人は、立派なまみれっこです!

「嘘そうそう」

私は嘘のかたまり。嘘みたいな曲ができました! 仕掛けがいっぱい!

びよよよーん!
ぴーひょろろ!
ッカー!
うにゃんうにゃんうにゃん!
楽しい音いっぱい。

音で遊ぶの楽しい! って思った曲! アルバムで一番遊んでる曲!
もう、嘘をついて取りつくろっても何も良いことないんだよー!

「脳内逃飛行」

アメリカ・ツアー、行きたい。でも行ったことあるから、ヨーロッパ行きたい。
温泉行きたい。新しい服欲しい。ジーパンTシャツ飽きた…

脳みそのなかを駆け巡る欲望でトリップ!

間奏で弾いたソロは、フィリコーダ(フィリップ社の鍵盤! 珍しい!)。ヨレヨレでムラがあるけど、キュンキュンする音に惚れて嬉しさいっぱいで弾いたよ。楽しいって素晴らしい。

「ローズヒップハイビスカス」

エンジニアの中村宗一郎さん曰く「人力テクノ」。大好きなローズヒップ・ハイビスカス・ティーを歌にしたくて考えた曲。淡々と日々が流れていくんだけど、いつも少しだけ小さいドラマがあって少しずつ何かが変化していく感じ。

間奏のやよいのマリンバ、途中で気持ち悪くなって気持ちよくなって、気持ち悪くなって… 注目です。そして、電子パッド的なものが聞こえてきますが、すっごい変な音で大好きなので聴いて下さい。こんなにかわいらしい曲!? なのに、歪みきったベースが不思議とよく合う。

絶妙な1曲。全曲すきだけど、かなりお気に入りの曲。アルバム後半だけど、いっぱい聴いてほしいな。

みずえ(Dr / Cho)
「空回り」

ボ・ディドリみたいなリズムに挑戦! 楽しいね! もうわかってきてると思いますが、つしまみれいろいろチャレンジしてます! しかも、楽しく! そして、力を入れすぎず、抜きすぎず、等身大で歌って演奏してます。この曲、自分の空回りっぷりをちょっとだけ悲しんで、後は楽しんでます。

みずえのパーカッションぶりに注目です。

〈散らかった部屋の中で あたしは「あたし」を探す / 永遠に見つからない〉
このアルバムが無事にみんなに届く頃、ようやく私の片付けがはじまる… 予定です!

「SNS」

SNSに踊らされる自分に嫌気がさして作った曲。
評判を気にして、気を使って、「バカみたいだなーっ」て思った曲。

これは進歩(ポ)!?

みんなそれで良いのか!? 目の前のことに向き合えてるのか?! アルバムで一番怒ってる曲。

イントロ、「ポ」の後、シャバシャバしてるのにメチャクチャキレキレのドラムがスーパー・クール。
そこに「ぼ ぼ ぼ  ぼ ぼ ぼ 」ってベースが入ったら興奮が止められない。

とはいえ、ツイッター楽しいね。

「NO PUNK」

全国ツアーのタイトルは、「NO PUNK TOUR 2013」にするぐらい、つしまみれにとって大事な曲。
内に秘めた情熱と情念と怒りと心の叫びがふつふつと煮えたぎる。

これがつしまみれの真骨頂。

やりなおしたいことなどないわ。あたしのままで進むだけ。
つしまみれはこの先も進むだけ。

最後まで聴いてくれてありがとう。

つしまみれまみれニュース!!! 演れんの!? オープニングまみれ!? 結果発表+追加募集決定!!

今年3月から、「JAGUAR」の先行配信とともにOTOTOYとつしまみれホームページにて募集されていた、。全国14カ所を回るツアーのオープニング・アクトを飾る、代表バンドがついに決定!! 新潟、松山、岡山公演での追加募集も発表され、ついに5月25日から、7月7日に新代田FEVERで行われる14周年記念ワンマン・ライヴまで、全国14カ所に及ぶツアーがスタートする。今後の動向にも目が離せない!!


つしまみれの過去作はこちら!!


LIVE INFORMATION

NO PUNK TOUR 2013

2013年5月25日(土) @千葉 LOOK
2013年5月26日(日) @松本 ALECX
2013年6月1日(土) @札幌 SPIRITUAL LOUNGE
2013年6月7日(金) @京都 MOJO
2013年6月8日(土) @大阪 FANDANGO
2013年6月14日(金) @仙台 PARK SQUARE
2013年6月15日(土) @新潟 CLUB RIVERST
2013年6月16日(日) @金沢 VANVANV4
2013年6月21日(金) @米子 AZTiC laughs
2013年6月22日(土) @福岡 graf
2013年6月28日(金) @松山 SALON KITTY
2013年6月29日(土) @岡山 PEPPER LAND
2013年7月5日(金) @名古屋 CLUB ROCK’N’ROLL
2013年7月7日(土) @新代田 FEVER

PROFILE

つしまみれ

1999年、千葉大学バンド・サークルで出会い、結成。

2004年、初のアメリカ・ツアーをきっかけに本格的に活動開始。これまでに10作品をリリースする。
数々の日本ツアーと10度を超えるアメリカ・ツアーで培ったライヴ・パフォーマンスは観る者を圧倒し続ける。

また、ヴィム・ベンダース監督によるドキュメンタリー・フィルムへの出演、カートゥーン・ネットワークの人気アニメ、パワーパフ・ガールズのテーマ曲制作、スーサイド・ガールズとの二度に渡る全米40本ツアー、映画「フローズン」へのイメージ・ソング提供等、活動は世界規模に注目され続けている。

2010年12月、自身のレーベルMojor Recordsを設立。
誰にも出来なかったことを成し遂げるために、つしまみれの旅は加速し続ける。

バンド名の由来は、やよいの名字「つしま」の「つし」と、まりの「ま」、みずえの「み」が「まみれ」で「つしまみれ」。

>>つしまみれ Official HP

[レヴュー] つしまみれ

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