2013/05/09 00:00

2013/5/8~5/15の注目2作品をレビュー!!

今週も沢山の新譜が入荷しました! 全部は聴いていられない! そんなあなたのために、このコーナーでは、OTOTOY編集部がオススメする今週の推薦盤を2~3枚ピックアップし、ライターによるレビューと共にご紹介いたします。 音源を試聴しながらレビューを読んで、ゆったりとした時間をお楽しみください。あなたと素敵な音楽の出会いがありますよう。

Hiroshi Yamashita『Somewhere Man』


Hiroshi Yamashita / Somewhere Man
【配信形式】
mp3、wav

【価格】
mp3、wav共に 単曲 200円 / アルバム 1,500円

インスト・バンド、WACK WACK RHYTHM BANDのギター / ヴォーカル、山下洋。フリーダム・スイートやDJとして活躍し、フリー・ソウル・シーンを作り出したキーマンの1人でもあり、さらにはプロデュース活動や音楽ライターなど多彩な活動で知られている。そんな彼が2013年5月8日に待望の初ソロ・アルバムをリリースした。今回のソロ・アルバムは『SOMEWHERE MAN』と題されており、山下自身が影響を受けたロックやシンガー・ソングライターなどの代表曲、知る人ぞ知る隠れた名曲などのカヴァーを収録している。そのカヴァーのスタイルは、石井マサユキ、井上冨雄、白根賢一、堀江博久からなる山下洋グループによるダイナミックなロックから、HAKASE-SUNによるスカ、ロックステディ・トラック、真城めぐみをコーラスに迎えた、太田桜子によるラヴァーズ・ロック・トラック、ボサノバ、そして自身の弾き語りと様々である。

どの曲からも山下の甘く、ソウルフルで艶のあるヴォーカルが魅力だ。なかでも、東京のポール・ウェラーと称される彼らしく、ザ・スタイル・カウンシル(ポール・ウェラーがリーダーとして活動していたバンド)の「COME TO MILTON KEYNES」のカヴァーが気になるだろう。この曲はザ・スタイル・カウンシルのセカンド・アルバム『OUR FAVOURITE SHOP』に収録されているもので、このアルバムは山下が当時から思い入れの強いアルバムだったそうだ。山下がそうした名曲たちをどう表現しているのか、聴いて確かめてほしい。(text by 益子直人)

385『人間』


385 / 人間
【配信形式】
mp3、wav

【価格】
mp3、wav共に 単曲 150円 / アルバム 1,500円

アルバム購入者には、歌詞カードが付いてきます!

2010年8月に、元ミドリの後藤まりこ主宰のHAKAI MUSICから鮮烈なデビューを飾った385(さんはちご)。ロック、ハードコア、ポップス、ファンクなどのジャンルを彼らなりに噛み砕いて、とにかく”わけのわからない”音楽性を振り乱し、独自の表現を突き進んでいる3人組だ。デビュー・ミニ・アルバム『脳みそあらおう』のシャウトやノイズ、激しいリズムから放出されていた、とてつもないエネルギーは、デビュー作としてはかなり衝撃的なものだった。しかし、前作リリース後にキーボードのJUNが脱退し、数々のサポート・メンバーとともにライヴを行った後、昨年7月に元School Food Punishmentの蓮尾理之が正式加入。3ピース・バンドの1人が脱退、加入するという、バンドの大きな変化を経てリリースされた今回のアルバムは、385の始まりを感じさせる作品となっている。

1stフル・アルバムとなる今作の中で、蓮尾のキーボードは耳に痛いノイズから、やわらかいエレクトロニック・ピアノの音まで、幅の広い音作りで曲に広がりを与え、緩急激しく展開していく楽曲に、はっきりとした変化を生み出している。前作からさらにパワーアップしたMIYA(Ba / Vo)の鋭いスラップや、TENGAN(Dr / Cho)の腰を据えつつも楽曲に勢いをもたらすリズムは健在だが、前作では楽曲に収まることがなかった膨大なエネルギーは、まとまりを見せている。蓮尾のキーボードが加わったことによって、メンバー個々の確かな演奏技術が楽曲の枠の中に凝縮されて、濃密でカオティックな楽曲の中にポップネスをも共存させたと言えるだろう。激しくて、ノイジーで、ジャンルはごちゃ混ぜで、やはり”わけがわからない”のだが、夢中になって聴き込んでしまう。今までの385はプロローグに過ぎない。これが385の完全体、ここからが始まりだ。(text by 櫻井希)

この記事の筆者
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[レヴュー] 385

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