2012/12/29 00:00

LOW HIGH WHO?を代表するビート・メイカーEeMuの11ヶ月連続企画最終章!

イチオシ・レーベルLOW HIGH WHO?に所属し、ビート・メイカー / エンジニアとして活動するEeMu。2011年12月にファースト・アルバム『Nothings』をリリースした彼が、2012年2月から11ヶ月連続でEPをリリース。OTOTOYでは、その11ヶ月を、ヒップ・ホップ・ライターの遼とヒップ・ホップ担当、和田隆嗣(僕です!)が追いました! そんな熱愛企画も今回の第11弾目が最終回! 遂に完結! 2012年のEeMuを振り返り、2013年はEeMuに刮目しろ!

EeMu Monthly Collection vol.11

EeMu / Everythings

【価格】
mp3 : 単曲 150円 / アルバム 600円
wav : 単曲 200円 / アルバム 600円

最終作は、EeMu本来のビート・メイクの妙が表現された全4曲。ヒップ・ホップからダンス・ミュージックまで精通した彼がなし得た最終形態の音を感じて欲しい。

彼のベースとなる技の成長を見る

EeMuの連続リリースシリーズ11作目。つまりは最終作。この企画最後の一発は、彼の原点に立ち戻ったような、アブストラクトな向きの強い、テクニカルなビート集だ。

丸1年追いかけ続けてきたこのシリーズも遂に終わりを迎えると思うと感慨深い。作品ごとにEeMuの器量の広さを見せ付けられた身としては、どうしても本作単体での評価というよりも、シリーズ中の1作として見た本作の魅力を語りたくなってくる。

「EeMuといえばこういう音のビート・メイカー」という、リスナーが、あるいはEeMu自身が持っていた固定観念を作品ごとに覆していくのがこの連続リリースの醍醐味だったわけだが、最終作ではあえて「EeMuと言えば」な音に立ち戻った。そしてそれは、そのまま彼がこの連作で成長した軌跡の証左として成立している。「Go Past」の曲名と音作りなどは、多分にそれを意図的に行ったことを聴き手に感じさせる音だ。この曲が1曲目なのは、きっとそういうことだ。

中でも、ほぼ全曲において、随所に挿入される声や環境音のサンプル、あるいはノイズ音の使い方などは、EeMuがこの連作で更にそのハウツーを獲得した最たるものだろう。「Go Past」は言うに及ばず、「Ember」や「Wu Wa」などの、ともすればスロー・テンポでワンパターンなだけの鈍重なリズムになりがちなビートを、独自のセンスで飽きないインストに料理している点などは、シリーズをずっと聴いてきた身としては「これだ!! 」と膝を打ちたくなる衝動に駆られる。そして一番の目玉は、やはりタイトル曲でもある「Everythings」。繊細なピアノによる高音とノイジーな低音がユニゾンし、またかけ離れていく様は、なんだか無性に感情をかき乱される。

シリーズ最後にどれだけの大道具を用意してるのかと身構えていたら、EeMu本来の持ち味であったこういうビートで真っ向から攻めてくれたのは嬉しい。下手な小細工の無い、彼のベースとなる技がこのシリーズでどれだけ成長したのかを、正攻法で示してくれた。それは、漫画『スラムダンク』であれだけダンクの才能がある桜木花道が、最後にはダンクでなく、もっとも基本的な技であるジャンプシュートで得点を決めたのと同じことだ。知らない方には訳が分からないだけの比喩でシリーズ最後のレビューを締めてしまうのもまた、いつも締切間際に原稿を提出する僕のスタイルにおける正攻法だということで、ご愛嬌。1年間のお付き合い、ありがとうございました。(text by 遼)

>>>EeMuのインタビューの特集はこちら

EeMu Monthly Collection シリーズ! アート・ワークも完成!!

毎月リリースしている連続EPシリーズも、第11弾まで登場しました。各EP、4曲入りとなっているが、毎回にそれぞれのテームを持たせている。30曲を越えてもなおサンプリング・ソースが尽きることの無いEeMu。きっとお気に入りの一枚があるはず! また、アート・ワークにはLHW?の全てのアート・ディレクションを担当するレーベル・オーナーParanelが担当。11枚を合わせると1枚の絵になるという新たなデジタル・リリースの可能性にも挑戦しています。

連続企画のアーカイヴはこちら

>>>EeMu Monthly Collection vol.1
>>>EeMu Monthly Collection vol.2
>>>EeMu Monthly Collection vol.3
>>>EeMu Monthly Collection vol.4
>>>EeMu Monthly Collection vol.5
>>>EeMu Monthly Collection vol.6
>>>EeMu Monthly Collection vol.7
>>>EeMu Monthly Collection vol.8
>>>EeMu Monthly Collection vol.9
>>>EeMu Monthly Collection vol.10

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EeMu Profile

北海道出身。中学からヒップ・ホップに目覚め、高校の頃には音楽性を確立し、全国のEDWINショップの店内BGMのオファーも来るほど当時は周囲を驚かせていた。その後、自身の多名義によるプロジェクト、様々なアーティストへのトラック提供をはじめ、現在はWEBサイトやCM、ドラマなどテレビ音楽などにも提供している。ブラック・ミュージックからクラブ・ミュージック、環境音楽などにも幅広くセンスに取り込み、仲間からラッパーから、音楽家たちからも愛されるビート・メイカーとしてコンポーザーとしてレーベル「LOW HIGH WHO?」を支え続けている。

EeMu official HP
LOW HIGH WHO? official HP

この記事の筆者

[連載] EeMu

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