2012/06/29 00:00

自主レーベル「SALTMODERATE」を設立し、デビュー30年を経て尚、精力的な活動を繰り広げる安全地帯。OTOTOYでは、スタッフや芸人、ミュージシャン、アイドルなど様々な立場から安全地帯を語ってもらい、その魅力を多角的に浮かび上がらせるべく、7日間連続毎日更新の特集記事「君は、安全地帯を聴いたか?」を展開。

第三回には、芸人としてもDJとしても第一線で活躍する、大谷ノブ彦(ダイノジ)が登場。テレビやラジオ、舞台は勿論、クラブやライブ・ハウスに雑誌やWebでの執筆など、その活動は多岐に渡る。7月からは「オトトイの学校」でも「ダイノジ大谷のDJパーティー論」なる講座を行うほど音楽にも造詣の深い彼が、同じ男として愛してやまない安全地帯、そして玉置浩二へ綴ったラブレターをご覧ください。

「君は、安全地帯を聴いたか?」とは
ミュージシャンや芸人、アイドルたちが日替わりで、自分の思う、ミュージシャン・安全地帯の魅力を語ります。ジャンルや年代、関係性は様々。それぞれの角度から安全地帯を浮かび上がらせる、7日間毎日更新の集中連載。

第一回「今、なぜ、安全地帯なのか?」 by 桜井葉子(Steezlab Music)

第二回「理想のロック・バンド 安全地帯」 by 中田裕二(ミュージシャン)

安全地帯

第三回「安全地帯 / 玉置浩二へのラブレター」 by 大谷ノブ彦(ダイノジ)

それはいつだったか。「笑っていいとも」のテレフォンショッキングにゲスト出演し司会のタモさんと会話することをひたすら拒み、歌い続けた玉置浩二を観た瞬間、なんだか不思議な感動を感じた。それは同じような所作に及んだ忌野清志郎のそれとは明確に違っていた。清志郎の確信犯的な演技とは違い、狙いを感じさせない、放たれた天然性と異常な熱量を帯びていたのだ。

そう、俺は泣いていた。彼から発せられる歌の深度に泣いたのだ。そしてその狂気に魅せられた。それは10代にビートたけしのラジオを聴いたとき、スクリーンで松田優作を観たときのように、岡本太郎の言葉のように、そしてエレファントカシマシ宮本浩次の歌声を聴いたときのように真っ直ぐ僕の心に突き刺さった。

狂っている。歌というものに狂っている。いや、それは歌に対してまるで赤子が叫ぶかのような純粋で無垢で透明な叫びだった。

それから僕は、足しげく玉置浩二のコンサートを観にいった。そういう刹那、狂気のような表現に何かを変えられた、それこそ賢明なロック・ファンなら92年の安全地帯のアコースティック・ライヴのDVDを観るがいい。そこにはポテンシャルというものの全てが詰まっている。安全地帯の最初のピークがある。

安全地帯は北海道旭川の牧場でバンド練習を重ねていたという。旭川のそんな彼らを世に引っ張り出した井上陽水に触発され玉置はヒット・ソングを戦略的に作らねばと思ったという。そこから歌番組で大衆のものへとなった安全地帯のある種の安定感は皆の知るところだろう。歌番組の出演、役者としての出演。80年代の安全地帯は歌謡バンドとしての地位も安泰の“安全地帯”にいたと言ってもいいだろう。やがて玉置浩二のソロ活動が始まる。その音楽性も当初は安全地帯のサウンドをシンプルにしたような内容だったが、盟友の須藤晃氏によって彼の体験してきたものを解放する作業を行うことでセールス的にも大成功をおさめる。それは彼が幼いころに目の前でおぼれていく幼馴染の少年に向けてひたすら歌いつづけるという業の深い歌手であるという側面だ。その苦しみを歌にすることで「田園」という肯定ソングを作れ、支持されたという事実。そして今、彼のそんなパーソナルな歌たちを安全地帯がリメイクしている。その物語感にグッとくるのだ。ロックンロール・バンドとして僕は安全地帯を支持する。バンドが玉置浩二の業を形にする。それはまるでエレファントカシマシのそれにも似てる。

そして、そんな才能を持ちながらもバンドの理解を得られず埋もれていく狂気や業の存在に悠久の思いにかられるのだ。

清く正しく美しく
山下達郎がもっと評価されるべきと言った玉置浩二の才能が爆発したアルバムのサブ・タイトルにはこんなタイトルがつけられている。

そう俺らは勝たねばいけない。人生において降り注ぐどうしようもない悲しみに。

安全地帯とは旭川にある鉄道の安全地帯マークが”V”で、それがヴィクトリーに似てたからバンド名にしたそうだ。ヴィクトリーのマークを掲げるのだ。そのためには清く正しく美しく、そんなものを真摯に狂気を内包して業として”歌”にして届ける。芸ってそういうことだろ。笑うなよ、殺すよ(笑)。(text by 大谷ノブ彦)

PROFILE

大谷ノブ彦(ダイノジ)
数多くの演芸、ネタ番組に出演する本格派漫才師でありながら、レポーターや司会業でも新しい魅力を発揮し、サブ・カルチャーによしもとにおいて最も精通した、いい意味でよしもとらしくない稀有なコンビ。また、舞台や寄席を愛し、定期的にストイックなライヴ活動にも励む。 数々の音楽雑誌・映画雑誌に連載を持ち、洋邦問わず音楽や映画に対し造詣の深い大谷ノブ彦と、2006、2007エアギター世界チャンピオンの大地洋輔からなる。 近年はDJのパフォーマンスで様々なロック・フェスティバルにも出演。 また自身が企画したDJパーティー「ジャイアンナイト」、ロック・フェスティバル「DRF」で多くのミュージシャンと交流を深め、活躍の場を広げている。

ダイノジ大谷の不良芸人日記

安全地帯
玉置浩二(たまき こうじ、1958年9月13日) - ボーカル、ギター
矢萩渉(やはぎ わたる、1957年6月27日) - ギター
武沢侑昂(たけざわ ゆたか、1958年5月16日) - ギター
六土開正(ろくど はるよし、1955年10月1日) - ベース、ピアノ、キーボード
田中裕二(たなか ゆうじ、1957年5月29日) - ドラムス

<1980年代を代表し、ヒット曲の数々で時代を席捲したロックバンド>
1982年にキティレコード(現・ユニバーサルミュージック)と契約し、『萠黄色のスナップ』でメジャー・デビュー。
1983年、サントリーから発売された「赤玉パンチ」のCMソングに起用された「ワインレッドの心」が大ヒット。一躍全国にその名が知れ渡る。その後も「恋の予感」、「熱視線」などの楽曲を立て続けにヒットさせ、1980年代を代表する人気グループの地位を不動のものにする。1985年には「悲しみにさよなら」が大ヒット。

<活動休止、その後>
1988年秋、香港コロシアムでのコンサートを最後に突然活動休止を宣言。
1990年、7thアルバム『安全地帯 VII -夢の都』のリリースを機に活動を再開。翌1991年には『安全地帯 VIII -太陽』をリリース。1992年12月、アコースティック・スタイルでのコンサート・ツアーを終了後、再び活動を休止。『ひとりぼっちのエール』は翌1993年2月10日にリリース。
活動休止を境に玉置はソロでの音楽活動はもちろん俳優業にも活動の場を広げる。自身最大のヒット曲となる「田園」をはじめ、「メロディー」「MR.LONELY」などソロでも多くの楽曲を発表する。他のメンバーも個々の活動に入る。この時、安全地帯の所属会社がキティレコードからソニー・ミュージックエンタテインメントに移籍。
2001年頃より安全地帯のレコーディングを開始する。
2002年7月10日に10年ぶりのシングル『出逢い』をリリース。同年8月7日に9thアルバム『安全地帯 IX』をリリース。
2003年10月22日には10thアルバム『安全地帯X -雨のち晴れ-』をリリース。ツアーでは5人全員が揃い、80年代の活動の場であったライヴ・ハウス「shibuya eggman」でもライヴを行う。ツアーは2003年12月で全日程を終了。
ツアー終了後の2004年以降はグループ活動を休止し、再び個々の活動に入る。
2010年、ユニバーサルミュージックへ移籍。同年3月シングル『蒼いバラ / ワインレッドの心(2010ヴァージョン)』を皮切りに5月シングル『オレンジ / 恋の予感(2010ヴァージョン)』、アルバム『安全地帯XⅠ☆Starts☆「またね…。」』、6月アルバム『安全地帯 HITS』を立て続けにリリース。7月から10月には『安全地帯“完全復活”コンサート・ツアー2010~Start&Hits~「またね…。」』を敢行。
2011年には8月シングル『結界 / 田園』、9月アルバム『安全地帯 XⅡ』、11月アルバム『安全地帯 XⅢ JUNK』をリリース、9月から12月には『安全地帯コンサートツアー2011「田園~結界」』を敢行。
そしてデビュー30周年である2012年、新たな境地を開くべく、安全地帯・玉置浩二インディーズ・レーベル「SALTMODERATE」を7月に発足し、本格始動開始。

>>SALTMODERATE HP

30th Anniversary Album

『The Ballad House~Just Old Fashioned Love Songs~』

デビュー30周年を迎え、連綿として綴られてきたバラードで、メンバーの思い入れの深い曲を中心にアレンジを一からやり直し、リレコーディングを敢行! 名曲10曲に2曲の新曲を加えた全12曲!
2012.8.22 (水) リリース

30th Anniversary Concert "The Ballad House"

2012.9.1 (土) いわみざわ公園野外音楽堂キタオン
2012.9.5 (水) 東京国際フォーラム ホールC
2012.9.6 (木) 東京国際フォーラム ホールC

>>Live Schedule

SALTMODERATE発足記念USTREAM特番『ソルトモ!』放送決定

2012.6.30 (土) 22:00~ : 直前特番
2012.7.1 (日) 20:00~ : 番組開始
安全地帯&玉置浩二がいよいよUSTREAMに初登場!
自主レーベル「SALTMODERATE」レーベル発足を記念して、一切台本ナシの生配信をお送りします。
果たして玉置は、ちゃんと現れてくれるのか?!
どの一瞬も見逃さず、リアルでリアル・タイムな安全地帯をどうぞ皆様自身の目で見届けてください。

>>USTREAM CHANNEL

「君は、安全地帯を聴いたか?」展開スケジュール

第一回(6/27) : 「今、なぜ、安全地帯なのか?」 by 桜井葉子(Steezlab Music)
第二回(6/28) : 「理想のロック・バンド 安全地帯」 by 中田裕二(ミュージシャン)
第三回(6/29) : 「安全地帯 / 玉置浩二へのラブレター」 by 大谷ノブ彦(ダイノジ)
第四回(6/30) : 「はじめてのあんぜんちたい」 by ???
第五回(7/1) : 「ポップ・ミュージックのスタンダード」 by ???
第六回(7/2) : ???
第七回(7/3) : ???

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