清純派ヒップ・ホップの全貌とは?
5月にリリースされたBiSとのコラボレーション・シングル「いんたああくしょん」でも大きな話題を呼んだアイドル・ユニットtengal6が、ついに初の単独音源『まちがう』を完成させた。NEWTRAL主催のオーディションによって結成されたこの6人組は、アダルト・グッズ・メーカーTENGAがスポンサーを務めるということでも結成当初から大きな注目を集めていたものの、なかなかその実体は見えてこないままだった。しかし先行でPVが公開されていた「ルービックキューブ」、そして初々しさ全開のラップを聴かせるライヴ・パフォーマンスが少しずつ評判となり、ここにきてようやく機は熟したようだ。果たして彼女達が実践する「清純派ヒップ・ホップ」とは? その全貌に初めて迫る!
インタビュー&文 : 渡辺裕也
tengal6 INTERVIEW
——昨年10月のオーディションを経て結成されたそうですが、みなさんはそれ以前にも他のオーディションを受けたりしていたんですか?
エリカ : 私は大阪出身で、アイドルとはまた違うんですけど、昔6人組のダンスと歌のユニットをやってました。
アヤカ : 私は17歳の頃からひとりでアイドルのイベントに出てました。
マリコ : 私はどちらかというとアイドルよりも「清純派ヒップ・ホップ」というところに興味を持って受けたんです。だから面接の時も「受からなくても応援してますから! 」みたいな感じでした(笑)。
アミ : 私も最初は「ヒップ・ホップ」というところに興味を持った感じですね。もともとダンスも習っていたし。事務所から提案されて受けてみることにしたんです。私達、みんな所属事務所が違うんです。
メイ : 私はオーディションを受けたのもtengal6が初めてでした。
ユミ : 私は友達に勧められて、なんか面白そうだと思って(笑)。
——ヒップ・ホップというコンセプトに惹かれて受けた方が多いんですね。実際にメンバーになってみて、加入前に描いていたイメージとのギャップは感じませんでしたか?
メイ : 確かに入る前はアイドルよりもヒップ・ホップのイメージが強かったんですけど、実際はアイドルとヒップ・ホップのイベントの両方に出させて頂いて。それはこのグループだからできることなんだなというのは、今になってから思うことですね。
エリカ : そもそもラップをやるってことを考えてなかったから、最初は苦戦しましたね(笑)。いまとなっては「新曲こんな感じだよ」って言われた時も「なるほど。いいですね」って言えるけど。
アヤカ : 初めて練習曲を聴いた時、みんな「ポカーン」ってしてたもんね(笑)。「え、ラップ? 」って(笑)。
——ラップがやりたくて入ったっていう人はいないんだ?
マリコ : 私は青春歌がKREVAだったんで(笑)。高校の時に日本のヒップ・ホップをめちゃくちゃ聴いてたから、ラップをやること自体に抵抗はまったくなかったです。
エリカ : でも、実際にグループに入るまではみんななにも考えてなかった感じだよね(笑)。
——オーディションの最終審査には何人残ったんですか?
エリカ : 12人いました。その12人で合宿をして、最終的に6人に絞られたんです。
——じゃあ、落ちた人の顔も知ってるんだ?
エリカ : はい。なんか複雑でしたね。一緒に合宿やって、みんな仲良くなった後だっただけに。この6人に決まった時も、大喜びする感じではなかったですね。
マリコ : むしろ「この12人でやりたいね! 」って感じだったよね。
——まあ、そうは言うけどねぇ(笑)。12人も女の子が揃ったら、そりゃ大変だよ。
マリコ : そんなことないですよー!!
ユミ : (笑)。楽しかったよね。
——でも、これはアイドルに限った話じゃなくて、例えば学校でもクラスに女の子が何人も集まれば、その中でグループ分けが出来たりするもんじゃない?
ユミ : 確かに。でも私達はそんなことないかなー。
アミ : 誰といても楽しいよ(笑)。全員twitterやってるんですけど、そこでも誰か二人が話してると、いつの間にかメンバーみんな会話に加わってくる感じで(笑)。
女の子の本質が出てくると思う。
——tengal6という名前は結成前に決まっていたものなんですよね? 最初に「あなたたちはtengal6です」と言われた時は、率直にどう思いましたか?
ユミ : お母さんは「~ギャルって古くない? 」って言ってましたね(笑)。でも、私は気にならなかったかなぁ。
エリカ : うん。特になにも思わなかったですね。
——グループ名にはみなさんのスポンサーを務めるTENGAの名前が組み込まれているんだけど、そこは特に気にならなかった? そこを入り口にしてみなさんの存在を知った方も多いと思うんだけど。
アミ : オーディションの時に初めて知ったんですけど、自分の頭には清純派ヒップ・ホップ・アイドルをやるってことしかなかったし、活動内容と関わりはないと事前に言われていたので、特になんとも思わなかったかな。純粋に応援してくれてるって事に感謝してます。
マリコ : 協賛して下さるのだから、名前を背負うことに違和感はなかったですね。
ユミ : サポートしてもらってるんだし、「ありがとうございます」しかないよね(笑)。そこから私達のことを知ってくれる人もいるんだから、おいしいです(笑)。
——みなさんにとっては「清純派ヒップ・ホップ」というキーワードが何よりも重要なんですね。では、みなさんの考える清純とはどのようなものなんですか?
マリコ : 難しいけど、「飾らず素に近い状態」かな。
アミ : 私は昔のアイドルのイメージになりますね。今は清純派ってあまりいないような気がする。tengal6の場合はそこにヒップ・ホップのイメージが加わるから、また新しいものになってると思います。
アヤカ : 私にとってはスマイレージみたいなイメージだったから、髪の毛を黒くして、前髪も切って、そこに近づこうと思ったんです。私は好きなアイドルがたくさんいるから。 今だったら、ももいろクローバーZさんと東京女子流さんとぱすぽ☆さんと、DokiDoki☆ドリームキャンパスさんと、あとは中野腐女シスターズ! 最近はぴゅあふるさんも好き! 昔のアイドルだと、Winkさんとか浅香唯さんとか中森明菜さんとか、あとは(延々と名前を挙げ続ける)… みたいな感じですね! もうアイドルが大好きで!
エリカ : (笑)。アヤカはアイドルについて話し始めたら本当に止まんないよね。清純派かぁ。私にとってはメイがTHE清純派かな。ある意味メイが理想像ですね。だから私達はみんなメイに近づいていけばいい(笑)。
——そう言われてますが、メイさんはどうですか?
メイ : えーっと、どうなんでしょう(笑)。私達はひとりひとりの個性がすごく強くて、同じような雰囲気の子がいないと思うんです。ラップにもそれが出ていると思うし。それぞれが自分らしくいるというのも清純派なんじゃないかな。
ユミ : うん。私も変な装飾はいらないと思う。女の子ってそれぞれに、こうなりたいっていうイメージがあるじゃないですか。でもそういうものを全部取っ払ったら、その子の本質が出てくると思うんです。
——なるほど。でも、みなさんは人前に立つお仕事をされているわけで、常に自然体で立ち振る舞うのが難しい時もあると思うんですが。
メイ : 最初の頃はお客さんとどう接してよいのかわからなかったですね。
アミ : 私達にとっては、自分達が楽しむということがすごく重要で。見せ方を考えるよりも、自分達が楽しんでいる姿を見てもらえればという感じかな。
マリコ : お客さんからも「みんなが楽しそうにしている姿が見ていても楽しい」という意見を頂いてて。だから、自分達が楽しめるライヴを作っていこうっていうのが常にベースになっています。
エリカ : 他のアイドルのライヴだと、お客さんからの合いの手がすごいじゃないですか。私達の場合はそうじゃなくて、けっこうじっくり聴いてもらう感じだから、他とは少し雰囲気が違うとは思う。
アヤカ : アイドルイベントに出ると、ポカーンとされることも多いもんね。
アミ : どうしたらいいのかわからなくて戸惑っているお客さんの様子が私達から見てもわかる時があって。そういう時は私達ももどかしい気持ちになりますね。でも、何回か来てくれている人の中には振り付けを覚えてくれてる人もいて。「ルービックキューブ」っていう曲があるんですけど、実際にルービックキューブを手に持って、振ってくれているお客さんもいたり。
マリコ : 私達なりの盛り上がり方が出来上がってくればいいと思ってます。そこはこれからの課題ですね。
——先日、僕も皆さんのライヴを拝見させて頂いたんですけど、曲によっては特に振り付けがないものもあるんですね。
マリコ : 振り付けがないというか、ああいう見せ方というか(笑)。
エリカ : そこが今のところ「ヒップ・ホップ」と「アイドル」の間にあるところなのかも。ヒップ・ホップのイベントに出る時は、2本のマイクをみんなで回しながらやったりもするしね。
——ついにみなさんの楽曲が作品となって世に出るわけですが、リリースを控えたいまはどのような気持ちですか。
アミ : 「早! 」と思いました(笑)。もっとかかるもんだと思ってたから。
ユミ : そうだね。嬉しかったよね。
エリカ : 不思議な感じですね。自分の歌ったものが形になるって。
ユミ : 一番最初に自己紹介ラップの「tengal6」をみんなで歌って、最後にタイトルにもなってる「まちがう」を録ったんですけど、そこに行き着くまでの成長が自分達でもすごくよくわかるんです。たった6曲だけど、ここから始まるんだなって。
アミ : うん。始めの一歩って感じですね。ラップもやったことないところから、やっとtengal6として作品を出せるところまで来て、作っていた時のそれぞれの思いがすごく込められてる。
マリコ : 結成から約半年のがんばりが詰まってるから、これを全国の人達がどう受け取ってくれるのか、すごく気になってます。わたし的には新ジャンルのものをやっているつもりだから、それが世に出たらどうなるんだろうって。だからもう、はやく聴いてほしい!
——では、こうやって作品を世に出したその次にはどんなことを成し遂げたいと思ってるんでしょう?
アヤカ : わたしラジオやりたいな!
エリカ : 地方にも行きたいよね!
メイ : ちょっとした目標かもしれないですけど、これからは『まちがう』を聴いて、初めてライヴに来る方もいるんですよね。そういう人達にも楽しんでもらえるようなライヴが出来るようになりたいです。
ユミ : 毎回違うtengal6を見せていけたらいいよね。
アミ : 私達の回りにいるみんながtengal6にいろんな夢を見てくれているから、もう私達だけのtengal6ではないと思ってるんです。そういう夢をひとつひとつ叶えていけたらいいな。
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PROFILE
tengal6
ネットを中心に爆発的な人気と話題を呼んでいる"ホンモノのHIP HOP"×"美少女"×"TENGA"×"清純"の要素が合わさったカオス・アイドル・ユニットtengal6。若手クリエイター・チームNEWTRALのキムヤスヒロによって企画され、オーディションで選ばれた6人のメンバーからなるtengal6。ラップのリリックは、元ズットズレテルズ「呂布」が担当。「ルービックキューブ」のリミックスをFragmentが担当している。とんでもない布陣を揃えアイドル・シーンをも巻き込んだ本年度注目のタイトル『まちがう』を7月15日発表。アダルト・グッズ・ブランド「TENGA」がスポンサーとして参加していながらも、あえてアダルト要素を一切排除し「清純派」「ヒップ・ホップ・アイドル」という部分に主軸を置いて活動している。