VS退屈! 東京BOREDOM
JJ : 東京ローカルのどこが不満?
も : 僕は東京ローカルに不満がある云々の前に、東京に本当のローカルはないと思っていて。地方出身者が多く出てきてやっているから、そんなに東京に愛着はないです。
も : 地方は多分、VS東京っていうのがあるんだろうけど、東京にはVSどこがない。
か : だからVS東大だったんだよ。
(一同笑)
か : でも東大でやる以上、そこにVS感があってやっている気持ちはあると思う。自分の気持ちを鼓舞するために、VS東大っていうと分かりやすい。
も : ローカルがありえない東京で、こういうイベントができるのは、東大どうこうよりVS何かが出来たからかも。そうだ! それは、VS退屈だよ。
JJ : 退屈なのはなに?
か : ライヴ・ハウスだよね。ライヴ・ハウスがつまんなかった。個々のライヴはおもしろいのに、ライヴ・ハウスがつまらないものになっていたの。最初、東京BOREDOMに誘うときそれぞれのバンドに聞いたんだよ。「今やってておもしろい?」って。「いや、面白くないです」って言ったバンドに、一緒にやろうって誘った。現状に満足していれば今のままやっていていいんです。満足してないんだったら、リスクしょって一緒にやろうぜっていう。やっぱ閉塞感を感じてたよなあ、2年前くらい。
こ : そうですね。それは残念ながら今も変わらずですけど。
か : じゃあ、なんで今年もそれを続けているかっていえば、東京BOREDOMが終わると、閉塞する日常のライヴ・ハウスがまた戻ってくる。退屈がまだ続いてるって気持ちがあるから、またやらなくちゃいけないって思う。
——でも、ライヴ・ハウスがつまらないという以上、ライヴ・ハウスを主戦場にすべきなんじゃないですか?
か : ただ、ライヴ・ハウスの中だけでやっていたら、ライヴ・ハウスの中以外の人には伝わらないってのもあるからね。
こ : 単純に見てもらえる場が広がるってのもある。
か : あと本音を言っちゃえば、東大でやったら何かが変わるんじゃないかって期待があった。でも変わってないから今もやっているんだけどね。
も : なんかあるんだよよね。東大には。
——関西には京都大学の西部講堂があるじゃないですか。それに対する東京の聖地みたいな感じなんですかね?
JJ : でも東京には法政大学があったからね。西部講堂でずっとやっていたからわかるんだけど、東京BOREDOMって絶対成功すると思っていたんだよね。学校ってすごく力がある。東京BOREDOMをもっとビッグにしたい気持ちはある?
こ : 大きなムーブメントにしてこうかっていったら、そうじゃないんですよね。主戦場はライヴ・ハウスでありたいし、あるべきだと思っている。それぞれのバンドが普段はライヴ・ハウスでおもしろいことをやっているんだから、東京BOREDOMがひとつのきっかけとなって、バンドもお客さんもライヴ・ハウスに戻っていける感じになってほしい。
も : この形態でおもしろいことができていけるんだったら、おもしろいうちはやると思うんですよ。
か : そう。規模がどうとかではなくて、おもしろいことをやりたい。規模を縮小しておもしろかったらそっちでいい。「次の東京BOREDOMは、スタジオ・ライヴにします」って言ったとしても、それがおもしろければ別にいい。
も : 5人しか入れませんとかね(笑)。
JJ : 東京BOREDOMは何を背負っていると思う?
か : 否定的な要因としてとらえられる可能性があったんで、あまりいいたくなかったんだけど、やっぱり過小評価さてているってとこだと思う。やっている人たちも過小評価されてるってことに気づき出している。
——それはいつぐらいから感じていたんですか?
か : 最初に気がついたのはブッキングの仕事をやり始めてからで、Jポップの売れてるバンドにも遜色ないものをやっているし、単純に見ていておもしろい。それなのに何でこんなに無視されているんだろうって。20年くらいバンドをやっていて、その間も思っていたけど、第三者的に見ててもそう思う。だったらそれを全面的に押し出してみたら、どんだけの人が反応するんだって。そういうものを背負ってしまっている。今までみんな背負ってないふりをしてきたんだと思うんだよ。でも、ボアダムに誘ってやるって言った人はそうじゃなかった。俺たち、やっぱちゃんと評価されたいですっていう人たちを集めたわけで、背負っているものがあるとすればそこだと思う。
つらい思いをしながらぞうきん掛けをしながら、来年もやるのかなーって思ってた
——東京BOREDOMを始めて2年が経とうとしていますが、現在のモチベーションってどういうものに変わってきているのでしょう?
か : 俺は2つあるんだけど、1つはみんなで集まってやるのがおもしろいっていうのから、おもしろいものを紹介したいって気持ちになってきている。だから、一度全員無名なやつを集めてLUSHでやるとかもいいのかなって。もう1つは、東京BOREDOMを開催すると人がくるんだけど、自分たちで企画イベントをやると来ないって状況は変わっていない。結局、ライヴを見ている人の意識は何も変わっていないと思うから、またやらなきゃなっていう気持ちの2つがある。だから、いくところまで行ったら一度ぶち壊したいって気持ちと、でも壊すもなにも何も変わっていないじゃんっていう両方があるんだよね。今回の東大も実際、しょうがない、やるかって感じだったところもある。
——変わらないんだったら、変わるまでやり続けるぜって気持ちじゃないんですか?
か : やろうかどうしようか悩んでいて、最終的にやるかってほうに振れた。やれば楽しいのはわかってるけど、大変ってのもわかっているから、やってもやらなくてもいいっていうフラットな位置にいて、今回はたまたまやるに針が振れたんだよね。
——じゃあ、今回も絶対にやらなきゃって気持ちはなかったんですか?
も : 俺もそういう感じでしたよ。去年のボアダムが終わった時点で、つらい思いをしながらぞうきん掛けをしながら、来年もやるのかなーって思ってた。
(一同爆笑)
も : 要はみんなそうだと思うんだけど、フェスみたいな感じは去年のボアダムにはまったくなかったんだよ。フェスって毎年やるって感じがするけど、感覚的にはLUSHでやった一回目が大きくなって、東大でやったらおもしろくなるかなって感じで。だから僕も毎年やらなきゃっていう必然性はないと思う。
——コジマさんはどうですか?
こ : 僕も一緒で、この火を絶やさず続けていこうってのはなかったですし、今もないんですよ。だから今年終わったら終わりでもいいし、来年もやるならやるでもいいって気持ちでいますね。
JJ : でも来年もやると思うな。3人は引いたらいけないくじを引いてしまった。
か : そういって逃げ場をなくしている(笑)
も : 俺もそう思う。今年やった理由はJJ!
か : みんながどうしようかっていってるときに、JJが絶対やらないかんって言って、そうか今年もやるのかーって思ったんだ(笑)。
JJ : いや、でもボアダムのない年があったら絶対にさみしいから!
——ボロフェスタで同じようなことを感じたんですか?
JJ : Limited Express (has gone?)で一度解散しているからね。
か : それは一回やらない年があったらすごい感じるかもね。
え : あとは、さっき言ってた、普段のライヴ・ハウスをどうおもしろくしていくかって課題もあるよね。
こ : そうそう。
か : 東京BOREDOMはおもしろいけど、普段のライヴ・ハウスがつまんないじゃ意味ないからね。いっそのこと、首脳陣がかわって、視点が変われば新しいものができるかもしれないですね。
こ : 紹介する意識が強くなると、バンド主体って意識が変わってしまうかもしれないしね。
か : そうか。俺たちがやめて、誰かがやりたいっていうくらいになればいいのか。
こ : これを紹介したいではなくて、俺がやりたいってやつがやればいいんですよ。
JJ : あと、キーワードとしてタナカカイタって人物はおもしろい。あいつは俺の心を動かした(笑)。
——どんな部分に動かされたんですか?
か : 会議のとき、とんちんかんなことを必ず5回は言う(笑)。
JJ : 10回のうち9回は外すんだけど、1回はずばっと言う。そういう部分で、ものすごく重要な人物。
か : 俺もそうだと思う。停滞しているときに、「それは違うと思う」って根底から覆すことを話をしたりする。
JJ : 僕とかモチヅキさん、カシマさんにしても、ライヴ・ハウスで働いていたり、年齢を重ねる中で、丸くつつむことを知っているけど、カイタはそれを知らない。だから、そのずばっと言ってくれるところが潔いんだよね。
こ : 知らないことも、「知ってるけどあえて言いませんでした」とか言うしね(笑)。でも、僕もそう思います。
——心強いですね!話は尽きませんが、そろそろ終電なので…。今日はありがとうございました。
一同 : ありがとうございました。駒場で会いましょう!
Discography of 東京BOREDOM in 東京大学 2010
東京BOREDOM
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