2009/10/12 00:00

北海道旭川出身、インスト・エレクトロ・ハードコア・バンド、。最新作『view for voices』はゲスト・ボーカルに蝦名啓太()、SEIKI(Naht)、小谷美紗子、五味岳久(lostage)が参加し、4人のそれぞれの個性がの個性と時に共鳴し、時にぶつかりながら上手く融合している。楽曲には彼らの活動拠点である旭川の寒い土地特有のピンと張りつめた緊張感であふれている。目を閉じて音に耳を澄ますと、涙する程の美しくてキレイな風景が思い浮かぶ。バックトラックに乗せられた歌詞はそれぞれ4人のゲスト・ボーカルが作詞を担当していて、どれもドラマチックな世界観を持っている。本作はボーカルとインストの曲2バーションが収録されているが、それぞれが別の個性を持ち全く違う曲であるかのように聴こえる。8つの刺激的で美しい音世界を是非体感してもらいたい。

インタビュー & 文 : 小林美香子

INTERVIEW

—バンド名の由来を教えてください。

。これは元々英単語をたくさん並べて、好きな言葉を拾い上げて作った名前なんだけど並べてた全部の英単語を覚えてなくて・・・ でも割とポジティブな意味合いを持ってて、色々あるけど真直ぐ行くのさ的な感じです。

—北海道の旭川を拠点に活動していますが、音楽制作をする上で地元で活動するメリットはどのような部分にありますか?

旭川を拠点にやっていくぜ! って確固たる意思があるんです。みたいなものはなくて。単純に旭川での僕らの生活の中に「」があって。逆にこのバンドだけの生活だったら、とっくに旭川から出てると思いますね。制作をする上でのメリットは、なんでしょうね(笑)。どちらかというと冷たくて綺麗なものが好きなので、北海道の冬がもうまさにそれで。今年ももうすぐ来るけど、冬の厳しいところじゃないと今みたいな感じを保てないかなって、ただそれだけは思います。

—今作『view for voices』の楽曲制作は、どのように行われましたか? またレコーディングの方法について教えてください。

今回は歌って頂くボーカルが実際に歌っている姿を僕が勝手に想像して曲を作りました。計算して作ったというよりは、一緒に演奏してる感じとか、頭の中で見た映像とか。そういう無音のショート・フィルムみたいなものに音を乗せていった感じで作りました。それで出来たトラックに僕達のドラムを北海道は札幌でレコーディングして、もう完全に録り終わっちゃって変更不可能なものを皆さんにお渡ししちゃいました(笑)。エビナさんだけは札幌で一緒にレコーディングしてるんですけど、他の方達は方々で録って頂いて、それをまた札幌に送ってもらって僕達がミックスに立ち会うという本当に恐れ多い感じでやりました。

—ずばり『view for voices』が意味する事は?

もう読んで字のごとくなタイトルなんですけどね。僕はライヴなり音源なりで景色を見せてくれる音楽が好きなんです。それは強制的なもんじゃなくって、自由度の高い想像力を与えてくれるような。言葉で説明するとこんな感じかなぁ。後は皆さんに自由に意味をつけていってもらいたいです。

—同じ楽曲で、ボーカルの曲とインストの楽曲が収録されていますが、なぜ二つのヴァージョンを挿入したのでしょうか? またボーカルとインストで楽曲名を変えた理由を教えてください。

ご存知のとおり僕達はインスト・バンドなので歌が入る前の段階でミスコーナーの曲としては完成してますからね。当然ミックスも違うものです。それに僕達が名前をつけることと、歌を作る人がその歌に名前をつけること。それは自然だと思うので。確かに同じ曲を歌抜きで入れてるだけだと捉えられても仕方がないことですが、僕は全く違うものとして考えています。歌がなくなると名前が変わるのではなくて、歌が入るから名前が変わる。そう思ってます。ライヴで演奏しているインストの曲がカラオケ・バージョンじゃなくてそれ自体が僕達の完成した作品で、もしライヴの時にボーカルもいるとしたら、そっちが特別なバージョン。まぁ、そういうことです!

—今回ゲスト・ボーカルとして4人のボーカリスト(蛯名啓太、SEIKI、小谷美紗子、五味岳久)が参加されていますが、この4人のアーティストが参加することになった経緯について教えて下さい。

経緯というかなんというか自然な感じで進んだんですが。僕達の「憧れ」に挑んでみるっていうところから始まるんですけどね。最初はSEIKIさんに「歌とかあったら良さそうだよね」みたいな雰囲気の会話をしてて、「じゃあやってください! 」と。そんな感じです(笑)。蛯名さんもそんな感じ。五味君はそのだいぶ後の話になるんだけど、ちょっと悩んだらしいけど承諾してくれて。ここまでの3人とは対バンも何度かしているし、顔を合わせればじゃれ合ってくれる良い先輩です。小谷さんとは極東最前線2でしか接点はなかったのですが、以前から憧れのアーティストだったのでお願いして幸運なことにOKして頂けた感じです。気づけば恐縮な・・・、なんとも恐れ多い・・・。本当に4人全員素晴らしかったです。

—ブログの中で、「旭川っていう田舎にもなんとなくのシーンがあるっていうこと。」と書いているのを拝見しました。現在の旭川のシーンは具体的にどのような状況ですか?

最近はもう何をシーンと呼ぶのかも分からなくなっちゃってるんですけどね。何よりもブログの中からそれを拾ってくることに驚きましたね(笑)。1つのジャンルに対して、1つのバンドしかいないような町で、さらなることに何にも流行らない町なんですよ、旭川って。それでもあのバンドがやるなら絶対行く! とかいう少数でも。ポップもパンクもハードコアもエモも僕達も、ごった煮状態で存在してて。全バンドがオンリー・ワン・スタンディングな感じですかね。音楽的なものがどうだというよりか、ライヴ・ハウスに行けば誰かいるよなっていうたったそれだけが重要な町です。

—最後に今後のの活動と展望について教えてください。

今回の作っていく感じが凄く楽して刺激の多いものだったので、いつかまたこういうのやりたいなと思ってたり。今は新曲たくさん作りたい時期だったり。ライヴやって多くの人に知ってもらいたいです。それが何よりしたいことです。ライヴを見たいと思われるバンドになりたいです。

あとはそうだなー、冬の準備しないと・・・ そろそろ本当に・・・。

PROFILE

北海道旭川市で、それぞれ別のハードコア、エモーショナル・ロック・バンドで活動していた二人によって2005年9月に結成。シーケンス&スタンディング・ドラム+ドラムという構成の異端のユニット。2006年3月、フジテレビ「FACTORY」にeastern youthの強力な推薦で、eastern youth、ZAZEN BOYSらと出演し反響を呼ぶ。エレクトロニカ/ハードコア/ノイズ/アヴァンギャルド/カオティック/エクスペリメンタル/マスなどに破壊衝動をぶちまけ、様々な印象を与えながら独特のスタイルで孤高の存在感を放つ。2008年5月、secreta tradesより1st Album「there was no scenery」をリリース。続いて7月にVAPよりリリースされたeastern youth主催のV.A.「極東最前線2」にも参加。9月には山形で行われたdo itに出演。多数の大物バンドが出演する中、ベスト・アクトの声もあがる程のパフォーマンスを見せ、この評判をきっかけに全国からも注目が集まる様になる。デジタル・ノイズの轟音やグリッジ、複雑なリズムがカオティックに交差し、ポスト・ロックを遥か彼方へと吹き飛ばしてしまう圧倒的な音の渦・・・ あらゆるジャンルを通過したサウンドは「次世代の・・・」と言うにはいささか突然変異過ぎるようで、放出される異形の音魂は聞く者を混乱に陥れ、シューゲイザーと同様の快楽的で中毒性の強いウォール・オブ・ノイズに酔いしれてしまう。クールで研ぎ澄まされたトラックとは対極に、熱ほとばしる刺激的なライヴ・アクトの野蛮性と爆発力は正にハードコア。

Live Schedule

  • 10/17(土)@札幌
  • 11/1(日)サンカクヤマ vol.13@新代田FEVER
w/ tera melos(from USA) / nuito(from 京都) /狂うクルー(kuruucrew) / 井澤 惇(LITE/FULLARMOR)
  • 11/22(日)WARPpresents「深室」@吉祥寺warp
w/ the north end / RATVILLE / チムニィ / 紺風少年 / 灰汁 / miscorner/c+llooqtortion

miscorner/c+llooqtortionが所属するSECRETA TRADESを紹介

東京発インディー・レーベル。
レーベル名は「社会」や「人間」の関係性の意。
世界中のフォーラムの中で何かしらのサインを交換しあい、
気付かぬ内にも何かをトレードしながら存在していくイメージを基にSEIKI(Naht)が命名。
また、コミットする全てのコミュニケイションの中にもSECRETA TRADESの大きな意義が込められています。

KIWIROLL
2004年に惜しくも解散してしまった札幌出身のKIWIROLLの再発版。日本のアンダーグラウンド界に多くの伝説を残してきた彼等の廃盤となった音源が高値で取引されていたりと非常に入手困難であったシングル「バカネジ」や1st アルバムのスクイズの他、参加V.A.音源やデモ音源までもコンパイルした作品で廃盤となっていた音源はほぼ収録。USハードコアを基調に複雑かつ繊細なメロディーでポップさなども持ち合わせた楽曲で彼等の魅力を放っている作品。ねじれた轟音と絶叫を轟かせながら、無上のメロディが心の琴線と涙腺を刺激するバンド。そして今もこれからもずっと、感動を与え続けていくバンドKIWIROLL。彼等の全てが詰まった作品になっています。

In The Beta City / NAHT
活動休止期を経てリスタートから2年、実に6年振りとなる待望のフル・アルバム。今新たなファン層からも熱い期待と注目を集めている新生Nahtの3rdフル・アルバム。彼らの特徴的持ち味である変拍子と不協和音に、エモーショナルなメロディの絡みも深みを増して健在。そして新たにNEW WAVE/POST ROCK的なアプローチを見出し、ディスコティックでダンサブルなサウンドをも見事にNahtのものにしている。他にも、ボンゴ/タブラ、シンセサイザーを効果的に取り入れ、研ぎ澄まされた表現力で驚きの進化的変貌を遂げ完成した今作は、彼等のキャリアとセンス、そして実力の賜物というべき自信の最高傑作。

L!EF IS RIOT ! / L!EF
NAHTの新レーベルSECRETA TRADESより札幌発、新鋭気鋭のDANCE ROCKバンド「L!EF」デビュー・アルバム。エモーショナルなツイン・ギターに、シンセとダンス・ビートを組み合わせたオリジナルのサウンドを奏でる5人組。SLANGのギタリストとしても活動中のVo.&G.のANIをはじめ、個性溢れるメンバーが観せる大胆で刺激的なステージングが、札幌から距離を越えて東京の地下シーンまで既に話題沸騰中。札幌COUNTER ACTION、そして下北沢SHELTERという2大ライヴ・ハウスも大プッシュ。オルタナティヴの切れ味、破壊的なハードコアの刹那感、80'sディスコのキラめきの融合。独創的センス溢れた曲解でDANCE MUSICを体現した全11曲。エレクトロニカなアプローチのインストも収録。

この記事の筆者

[インタヴュー] miscorner/c+llooqtortion

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